Lemma

二つの直線があるとき, 一番目の直線が二番目の直線に対するように,
一番目の直線でできた正方形が 二つの直線を含む長方形に対する。

二つの直線をFE,EGとする。

FEがEGに対するようにFEでできた正方形は FEとEGでできた長方形に対することを示す。

FEでできた正方形の一辺をDEとし,長方形GDをつくる。

FEがEGに対するようにFDはDGに対し,
FDはFEでできた正方形でありDGはDEとEGでできた長方形である。

すなわちFEとEGでできた長方形である。

ゆえに,FEがEGに対するように FEでできた正方形はFEとEGでできた長方形に対する。

同様にして,GEとEFでできた長方形はEFでできた正方形に対する。

すなわち,GDがFDに対するようにGEはEFに対する。

Y.1

命題22

中項線分でできた正方形と同じ面積の長方形が有理線分上につくれるならば,
有理線分に対して,長さにおいて通約不可能かつ有理な直線を幅とする。

Aを中項線分とし,CBを有理線分とする。

長方形BDの面積はAでできた正方形に等しく,
Aでできた正方形と面積の等しい 長方形BDがBC上につくられるとき,CDを幅とする。

CDは有理でCBと長さにおいて通約不可能であることを示す。

Aは中項線分なので,Aでできた正方形は 有理線分によって囲まれる長方形に等しく,
その長方形の辺は,平方においてのみ通約可能である。
].21

Aでできた正方形が,長方形GFに等しいとする。

しかし,それはBDとも等しい。ゆえに,BDとGFは等しい。

また,等角な平行四辺形の等しい角をはさむ辺は反比例するので,
BCがEGに対するようにEFはCDに対する。
Y.14

ゆえに,BCでできた正方形がEGでできた正方形に対するように,
EFでできた正方形はCDでできた正方形に対する。
Y.22

CBでできた正方形はEGでできた正方形と通約可能であり,これらの直線は,それぞれ有理なので,
EFでできた正方形CDでできた正方形とも通約可能である。
].11

また,EFでできた正方形は,有理で, ゆえにCDでできた正方形も有理である。
ゆえに,CDは有理である。
].Def.4

またEFはEGと正方形においてのみ通約可能であり, 長さにおいて通約不可能なので,
EFがEGに対するように, EFでできた正方形はFEとEGでできた長方形に対する。

ゆえに,EFでできた正方形は FEとEGでできた長方形と通約不可能である。 ].11

また,CDでできた正方形はEFでできた正方形と通約可能であり,
よって,それらの直線は正方形において有理である

そして,DCとCBでできた長方形は FEとEGでできた長方形と通約可能であり,
それらはAでできた正方形に等しい。

よって,CDでできた正方形は DCとCBでできた長方形と通約不可能である。 ].13

また,CD でできた正方形が, DCとCBでできた長方形に対するように,DCはCBに対し,
ゆえに,DCはCBと長さにおいて通約不可能である。
].11

ゆえにCDは有理で,CBと長さにおいて通約不可能。

証明終了


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