命題9

通約可能な直線でできた正方形は平方数であらわせる比をもち,
平方数であらわせる比をもつ正方形はその一辺が通約可能である。
しかし,通約不可能な直線でできた正方形は, 平方数であらわせる比をもたず,
平方数であらわせる比をもたない正方形は,その一辺が通約可能ではない。

AとBが通約可能であるとする

Aでできた正方形とBでできた正方形が 平方数であらわせる比をもたないことを示す。

AとBは通約可能なのでAはBに対して数であらわせる比をもつ。

それをCのDに対する比とする。

二つの平方数の間には,比例中項が存在し,平方数の平方数に対する比は, 一辺の一辺に対する比の二乗に等しい。 ].5

AのBに対する人CのDに対する比は等しい。 相似な図形では対応する辺の比の二乗である。

Aでできた正方形とBでできた正方形の比はAのBに対する比の二乗であり,Cでできた正方形と Dでできた正方形の比は,CのDに対する比の二乗である。

ゆえに,Aでできた正方形のBでできた正方形に対する比は Cでできた正方形のDでできた正方形に対する比に等しい。 Y.20.Cor. [.11

つぎにAでできた正方形のBでできた正方形に対する比がCでできた正方形 のDでできた正方形に対する比であるとする。

AとBが通約可能であることを示す。

Aでできた正方形がBでできた正方形に対するのと, Cでできた正方形がDでできた正方形に対するのは等しく,
Aでできた正方形のBでできた正方形に対する比は, AのBに対する比の二乗であり,Cでできた正方形のDでできた正方形に対する比はCのDに対する比の二乗である。
].6

ゆえに,AのBに対する比は,数Cの数Dに対する比である ゆえにAとBは長さにおいて通約可能である。

つぎに,AとBが通約不可能であるとする。

Aでできた正方形がBでできた正方形に 平方数であらわせる比をもたないことを示す。

もし,Aでできた正方形がBでできた正方形に平方数であらわせる比をもつならば, AとBは通約可能である。

しかし,そうではないのでAでできた正方形は Bでできた正方形に平方数であらわせる比をもたない。

最後に,Aでできた正方形はBでできた正方形に 平方数であらわせる比をもたないとする。

AとBが通約不可能であることを示す。

AとBが通約不可能であることを示す。

しかし,そうでないので,AとBは通約可能ではない。

以上のことより,通約可能な直線でできた正方形は平方数であらわせる比をもち, 平方数であらわせる比をもつ正方形はその一辺が通約可能である。

しかし,通約不可能な直線でできた正方形は,平方数であらわせる比をもたず,平方数であらわせる比を もたない正方形は,その一辺が通約可能ではない。

証明終了


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