命題25

「円の切片が与えられたとき、その切片を含む完全な円をかくこと」

 

与えられた円の切片をABCとせよ。

切片ABCを含む完全な円をかくことが要求されている。

DでACを2等分し、点DからACに直角にDBをひき、ABを結びなさい。

そのとき、角ABDは角BADより大きいか、等しいか、小さいかである。

 

まず、大きいほうをABDとせよ。線分BA上にその上の点Aにおいて角ABDと等しい角BAEを作図しなさい。DBをEまで延長し、ECを結びなさい。

そのとき、角ABEは角BAEと等しいので、線分EBもEAと等しい。命題T.6

そして、ADはDCと等しく、DEは共通なので、2辺AD、DEは2辺CD、DEとそれぞれ等しく、おのおのが直角なので、角ADEは角CDEと等しい。それゆえ、底辺AEは底辺CEと等しい。

しかし、AEはBEと等しいことが証明されていた。それゆえ、BEもCEと等しい。それゆえ、線分AE、EB、ECは互いに等しい。

それゆえ、中心E、線分AE、EB、ECのうちの1つを半径にもつ円がかかれるならば、残りの点も通り、完全な円がかかれる。

それゆえ、円の切片が与えられたとき、完全な円がかかれる。命題V.9

そして、中心Eが外部にあるので、切片ABCは半円より小さいことが明らかである。

 

たとえ角ABDが角BADと等しいとしても、ADがBD、DCのそれぞれと等しいので、3線分DA、DB、DCは互いに等しくなり、Dは完全な円の中心で、ABCは明らかに半円になるであろう。

 

しかし、角ABDが角BADより小さく、線分BA上にその上の点Aにおいて角ABDと等しい角を作図するならば、中心は切片ABC内、DB上におち、切片ABCは明らかに半円より大きくなるであろう。

それゆえ、円の切片が与えられたとき、完全な円がかかれる。

作業終了


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