命題21

「三角形の辺のうちの1つの端から三角形内で交わる2線分がつくれるならば、そのようにつくられた線分の和は三角形の残りの2辺の和より小さいが、つくられた線分は残りの2辺によってはさまれた角よりも大きい角をはさむ。」

三角形ABCの辺のうちの1つ、BCの端BとCから三角形内で交わる2線分をBD、DCとせよ。

BDとDCの和が残りの2辺BAとACの和よりも小さいが、BDとDCが角BACよりも大きい角BDCをはさむことをいう。

Eを通るBDをかく。

任意の三角形で2辺の和は残りの1辺より大きいので、三角形ABEで2辺ABとAEの和はBEより大きい。命題T.20

おのおのにECを加える。そのときBAとACの和はBEとECの和より大きい。

また、三角形CEDで2辺CEとEDの和がCDより大きいので、おのおのにDBを加えると、CEとEBの和はCDとDBの和より大きい。

しかし、BAとACの和はBEとECの和より大きいことが証明されているので、BAとACの和はBDとDCの和よりかなり大きい。

また、任意の三角形で外角は内対角より大きいので、三角形CDEで外角BDCは角CEDより大きい。命題T.16

さらに同様な理由で、三角形ABEで外角CEBは角BACより大きい。しかし、角BDCは角CEDより大きいことが証明されているので、角BDCは角BACよりかなり大きい。

それゆえ、三角形の辺のうちの1つの端から三角形内で交わる2線分がつくれるならば、そのようにつくられた線分の和は三角形の残りの2辺の和より小さいが、つくられた線分は残りの2辺によってはさまれた角よりも大きい角をはさむ。

証明終了


第1巻命題20へ 第1巻命題22へ 第1巻目次へ