Lemma

二つの不等な線分が与えられたとき, 大きい線分でできた正方形が小さい線分でできた正方形より,
どれくらいの正方形だけ大きいかみつける。

与えられた二つの不等な線分をAB,Cとし,ABが大きいとする。

このとき,ABでできた正方形がCでできた正方形より どれくらいの正方形だけ大きいかみつける。

AB上に半円ADBを描き, ADBにCと等しい長さの弦ADをとり,DBが結ばれたとする。 W.1

角ADBは直角で,ABでできた正方形はAD,すなわちCでできた正方形より DBでできた正方形だけ大きいことが明らかである。 V.31 T.47

同様に,二つの線分が与えられたとき,それらの線分でできた正方形の 和に等しい正方形の辺は次のように見つけられる。

与えられた二つの線分をAD,DBとし,それらの線分でできた正方形の和に 等しい正方形の辺を見つけるとする。

それらの線分を直角ADBとなるようにおき,ABを結ぶ。

ADとDBでできた正方形の和に等しい 正方形の辺がABであることは明らかである。 T.47

命題14

四つの線分が比例し,一番目の線分でできた正方形が, 二番目の線分でできた正方形より,
一番目の線分と通約可能な線分でできた正方形だけ大きいならば,
三番目の線分でできた正方形は四番目の線分でできた正方形より
三番目の線分と通約可能な線分でできた正方形だけ大きい。

また,一番目の線分でできた正方形が二番目の線分でできた正方形より,
一番目の線分と通約不可能な線分でできた正方形だけ大きいならば,
三番目の線分でできた正方形は,四番目の線分でできた正方形より
三番目の線分と通約不可能な線分でできた正方形だけ大きい。

A,B,C,Dを比例する四つの線分とし,AがBに対するように, CはDに対するとし,
Aでできた正方形は,Bでできた正方形よりEでできた正方形だけ大きく,
Cでできた正方形は,Dでできた正方形より Fでできた正方形だけ大きいとする。

AがEで通約可能であるならば, CはFと通約可能でAがEと通約不可能であるならば, CはFと通約不可能である。

AがBに対するように,CがDに対するので, Aでできた正方形がBでできた正方形に対するように,
Cでできた正方形はDでできた正方形に対する。
Y.22

また,EとBでできた正方形の和はAでできた正方形に等しく, D,Fでできた正方形の和はCとできた正方形に等しい。

よって,E,Bでできた正方形の和がBでできた正方形に対するように, D,Fでできた正方形の和がDでできた正方形に対する。

したがって,Eでできた正方形がBでできた正方形に対するように, Fでできた正方形がDでできた正方形に対する。

ゆえに,EがBに対するように,FがDに対する。 逆に,BがEに対するように,DがFに対する。 X.17 Y.22 X.7.Cor.

また,AがBにたいするように,CはDに対する。 ゆえに,AはEに対するように,CはFに対する X.22

よって,AがEと通約可能ならば,CはFと通約可能であり, AがEと通約不可能ならば,CはFと通約不可能である。 ].11

証明終了


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