命題96

「有理線分と第6の余線分によってできる面積があるならば,その面積に等しい正方形の辺は,二つの中項面積の差に等しい正方形の辺である」

有理線分ACと第六の余線分ADによって作られる面積をABとする。

ABと等しい正方形の一辺は二つの中項面積の差に等しい正方形の辺であることを示す。

DGをADに付加する。そのとき,AGとGDは平方においてのみ通約可能な有理線分である。そしてそれらは有理線分ACと長さにおいて通約不可能である。そして,AG上の正方形はDG上の正方形よりAGと長さにおいて通約不可能な直線上の正方形だけ大きい。 ].Def.V.6

AG上の正方形はGD上の正方形よりAGと長さにおいて通約不可能な直線上の正方形だけ大きい。よってAG上にDG上の正方形の4分の1に等しく正方形だけ欠けている長方形をつくるとするとそれは通約不可能な部分に分けられる。 ].18

DGをEで二等分する。AG上の長方形はEG上の正方形に等しく正方形だけ欠けている。そしてそれを長方形AF,FGとする。そのときAFはFGと長さにおいて通約不可能である。

しかしここでAFがFGに対するようにAIがFKに対する。よってAIはFKと通約不可能である。 ].11

AGとACは平方においてのみ通約可能な有理線分なのでAKは中項である。またACとDGは長さにおいて通約不可能な有理線分であるのでDKも中項である。 ].21

ここでAGとGDは平方においてのみ通約可能。よってAGはGDと長さにおいて通約不可能である。

しかしここでAGがGDに対するようにAKがKDに対する。よってAKはKDと通約不可能である。 Y.1 ].11

ここで,AIに等しい正方形LMを描き,FKと等しく同じ角をはさむNOを引く,そのときLM上,NO上の正方形は同じ対角線をはさむ。 Y.26

その対角線をPRとする。そのとき,前と同様にLNがABに等しい正方形の一辺に等しいことが証明される。

LNが二つの中項面積の差に等しい正方形の辺であることを示す。

AKは中項であることが示されて,LP上,PN上の正方形の和に等しい。よって,LP上,PN上の正方形の和は中項である。またDKは中項であることが示され,長方形LP,PNの2倍に等しい。よって長方形LP,PNの2倍は中項である。

AKはDKと通約不可能であることが示されているのでLP上,PN上の正方形の和は長方形LP,PNの2倍と通約不可能。AIはFKと通約不可能なので,LP上の正方形PN上の正方形と通約不可能である。

よってLPとPNは平方において通約不可能で,それら上の正方形の和は中項で長方形の2倍は中項である。さらにそれら上の正方形の和はそれらでつくる長方形の2倍と通約不可能。

よってLNは二つの中項面積の差に等しい正方形の辺と呼ばれる無理線分である。そしてそれはABと等しい正方形の一辺であり,その面積に等しい正方形の辺は,二つの中項面積の差に等しい正方形の辺である。 ].78

証明終了


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