命題95

「もし面積が有理線分と第5の余線分によって囲まれるならば,その面積に等しい正方形の辺は中項面積と有理面積の差に等しい正方形の辺である」

面積ABは有理線分ACと第5の余線分ADによって囲まれるとする。

面積ABに等しい正方形の辺は,中項面積と有理面積の差に等しい正方形の辺である事を証明する。

DGがADにたされたとする。そのとき,AGとGDは平方においてのみ通約可能な有理線分であり,GDは定められた有理線分ACと長さにおいて通約可能である。 全体のAG上の正方形はたされたDG上の正方形より,AGと通約不可能な線分上の正方形だけ大きい。 ].Def.V.5

ゆえに,もしDG上の正方形の4分の1に等しく正方形だけ欠けている平行四辺形がAG上に作られるならば,通約可能な2つの部分に分ける。 ].18

DGがEで2等分され,EG上の正方形に等しく,正方形だけ欠けている平行四辺形がAG上に作られるとき,それを長方形AF,FGとする。そのとき,AFはFGと長さにおいて通約不可能である。

さて,AGはCAと長さにおいて通約不可能なので,両方とも有理でゆえにAKは中項である。 ].21

さらにDGはACと長さにおいて通約可能なのでゆえにDKは有理。 ].19

そこで,AIに等しい正方形LMがつくられたとし,FKに等しく同一の角LPMをはさむ正方形NOが引かれたとする。 そのとき,正方形LMとNOは同じ対角線をはさんでいる。PRをそれらの対角線とし,作図をする。 Y.26

同様にして,LNが面積ABに等しい正方形の辺である事が証明できる。

次に,LNが中項面積と有理面積の差に等しい正方形の辺である事を証明する。

AKが中項面積である事はすでに証明され,LP上,PN上の正方形の和は中項である。

また,DKは有理で,長方形LP,PNの2倍なので,ゆえにこれ自身も有理面積である。

また,AIはFKと通約不可能なので,ゆえにLP上の正方形はPN上の正方形と通約不可能である。ゆえに,LPとPNは平方において通約不可能な直線で,それらの上の正方形を中項面積とし,それらによって囲まれる長方形の2倍を有理面積とする。

ゆえに,残りのLNは中項面積と有理面積の差に等しい正方形の辺と呼ばれる無理線分である。そして,面積ABに等しい正方形の辺である。 ].77

よって,面積ABに等しい正方形の辺は,中項面積と有理面積の差に等しい正方形の辺である。したがって,面積が有理線分と第5の余線分によって囲まれるならば,その面積に等しい正方形の辺は中項面積と有理面積の差に等しい正方形の辺である

証明終了


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