命題114

「余線分と二項線分でできた面積があり二項線分の2つの項が余線分の2つの項と通約可能で同じ比を持つならばそのとき面積と等しい正方形の一辺は有理である」

長方形AB,CDは余線分ABと二項線分CDでできるとし,CEはCDの大きい方とし,二項線分の項のCE,EDは余線分の項AF,FBと通約可能であり同じ比を持つとする。 そして長方形AB,CDに等しい正方形の一辺をGとする。

Gが有理線分であることを示す。

Hを有理線分とし,H上にH上の正方形に等しくKLを幅とする長方形CDをつくる。このときKLは余線分である。

KMとMLは二項線分の項CE,EDと通約可能であり,同じ比を持つとする。].112

しかしCE,EDはAF,FBと通約可能で同じ比を持つ。よってAFがFBに対するようにKMがMLに対する。

よっていれかえてAFがKMに対するようにBFがLMに対する。よって残りのABが残りのKLに対するようにAFがKMに対する。 X.19

ここでAFはKMと通約可能,よってABもKLと通約可能である。 ].12 ].11

そして,ABがKLに対するように長方形CD,ABが長方形CD,KLに対する。よって長方形CD,ABは長方形CD,KLと通約可能である。 Y.1 ].11

ここで長方形CD,KLはH上の正方形に等しい。よって長方形CD,ABはH上の正方形と通約可能である。

また,G上の正方形は長方形CD,ABに等しい。よってG上の正方形はH上の正方形と通約可能である。

ここでH上の正方形は有理である。よってG上の正方形も有理である。

よってGは有理である。そしてそれは長方形CDABに等しい正方形の一辺である。

したがって,余線分と二項線分でできた面積があり二項線分の2つの項が余線分の2つの項と通約可能で同じ比を持つならばそのとき面積と等しい正方形の一辺は有理である。

証明終了



Corollary

そして有理面積が無理線分によってできることが可能であるということが明らかになった。


第10巻命題113へ  第10巻命題115へ  第10巻目次へ