命題112

「有理線分でできた正方形に等しい長方形が二項線分上につくられるならば余線分を幅とし、余線分の2つの項は二項線分の2つの項と通約可能で同じ比になり、このようにして生じた余線分は二項線分と同じ順位をもつ」

Aを有理線分、BCを二項線分、DCをその大きいほう項とし、長方形BC,EFをAでできた正方形に等しいとする。

EFが余線分で、その2つの項はCD,DBと通約可能で同じ比になり、EFはBCと同じ順位をもつことを示す。

長方形BD,GをAでできた正方形に等しくする。

このとき、長方形BC,EFは長方形BD,Gに等しいのでCBがBDに対するようにGがEFに対する。また、CBはBDより大きい。 よって、GはEFより大きい。 Y.16 (X.14)

EHはGに等しいとする。このとき、CBがBDに対するようにHEがEFに対する。よって、分割比により、CDがBDに対するようにHFがFEに対する X.17

HFがFEに対するようにFKがKEに対するようにする。  前項の1つが後項の1つに対するように前項の全体が後項の全体に対するので、このとき、全体HKが全体KFに対するようにFKがKEに対する。 X.12

また、FKがKEに対するようにCDがDBに対する。 よって、HKがKFに対するようにCDがDBに対する。 X.11

また、CDでできた正方形はKFでできた正方形と通約可能である。  よって、HKででき正方形はKFでできた正方形と通約可能である。 ].36 Y.22 ].11

3線分HK,KF,KEは比例するので、HKでできた正方形がKFでできた正方形に対するようにHKがKEに対する。  よって、HKはKEと長さにおいて通約可能である。  ゆえに、HEはEKと長さにおいて通約可能である。 ].15

Aでできた正方形は長方形EH,,BDに等しく、Aでできた正方形は有理面積である。よって、長方形EH,BDは有理面積である。

長方形EH,BDは有理線分BD上につくられている。 よって、EHは有理線分でBDと長さにおいて通約可能である。 ゆえに、EHと通約可能なEKは有理線分でBDと長さにおいて通約可能である。 ].20

このとき、CDがDBに対するようにFKがKEに対し、CD,DBは平方においてのみ通約可能な線分である。よって、FK,KEは平方においてのみ通約可能である。  また、KEは有理線分なのでFKは有理線分である。 ].11

よって、FK,KEは平方においてのみ通約可能な有理線分である。  ゆえに、EFは余線分である。 ].73

CDでできた正方形はBDでできた正方形よりCDと通約可能な正方形またはCDと通約不可能な正方形だけ大きい。

CDでできた正方形がDBでできた正方形よりCDと通約可能な線分でできた正方形だけ大きいならば、FKでできた正方形はKEでできた正方形よりFKと通約可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].14

CDが定められた有理線分と長さにおいて通約可能ならば、FKは定められた有理線分と長さにおいて通約可能である。BDが定められた有理線分と長さにおいて通約可能ならば、KEは定められた有理線分と長さにおいて通約可能である。ところが、CDまたはDBが定められた有理線分と長さにおいて通約不可能ならば、FKまたはKEは定められた有理線分と長さにおいて通約不可能である。 ].011 ].012

また、CDでできた正方形がDBでできた正方形よりCDと通約不可能な線分でできた正方形だけ大きいならば、FKでできた正方形はKEでできた正方形よりFKと通約不可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].014

CDが定められた有理線分と通約可能ならば、FKは定められた有理線分と通約可能である。BDが定められた有理線分と通約可能ならば、KEは定められた有理線分と通約可能である。ところが、CDまたはDBが定められた有理線分通約不可能ならば、FKまたはKEは定められた有理線分と通約不可能である。よって、FEは余線分であり、その項FK,KEは二項線分の項CD,DBと通約可能で同じ比になり、BCと同じ順位をもつ。

したがって,有理線分でできた正方形に等しい長方形が二項線分上につくられるならば余線分を幅とし、余線分の2つの項は二項線分の2つの項と通約可能で同じ比になり、このようにして生じた余線分は二項線分と同じ順位をもつ。

証明終了


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