命題10

「円は円と2つ以上の点で交わらない。」

可能ならば、円ABCは円DEFと2つ以上の点、すなわちB、G、F、Hで交わるとせよ。

BH、BGを結び、点K、Lでそれらを2等分しなさい。K、LからBH、BGに対して直角にKC、LMをひき、点A、Eまで延長しなさい。

そのとき、円ABCで線分ACは線分BHを直角に2等分し、円ABCの中心はAC上にある。また、同じ円ABCで線分NOは線分BGを直角に2等分し、円ABCの中心はNO上にある。系V.1

しかし、AC上にあることも証明されていた。そして、線分AC、NOはP以外で交わらない。それゆえ、点Pは円ABCの中心である。

同様にして、Pはまた円DEFの中心であることも証明することができる。それゆえ、互いに交わっている2円ABC、DEFは同じ中心Pをもつが、不可能である。命題V.5

それゆえ、円は円と2つ以上の点で交わらない。

証明終了


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