命題35

「円で2つの弦が互いに交わるならば、一方の弦の2つの部分によって囲まれている長方形は他方の弦の2つの部分によって囲まれている長方形と等しい。」

 

円ABCDで2つの弦AC、BDが点Eで互いに交わるとせよ。

AE、ECに囲まれている長方形はDE、EBに囲まれている長方形と等しいことをいう。

いま、AC、BDは中心を通り、Eが円ABCDの中心であるならば、AE、EC、DE、EBは等しく、AE、ECに囲まれている長方形もDE、FBに囲まれている長方形と等しい。

 

つぎに、AC、DBは中心を通らないとせよ。中心Fをとり、ABCDの中心とせよ。Fから弦AC、DBに垂直なFG、FHをひきなさい。FB、FC、FEを結びなさい。

そのとき、中心を通る線分GFが中心を通らない弦ACと直角に交わっていて、それをまた2等分するので、AGはGCと等しい。命題V.3

そのとき、弦ACはGで等しい部分、Eで不等な部分に切り取られたので、AE、ECに囲まれている長方形とEG上の正方形はGC上の正方形と等しい。命題U.5

GF上の正方形を加えなさい。それゆえ、AE、ECに囲まれている長方形とGE、GF上の正方形の和はCG、GF上の正方形の和と等しい。

しかし、FE上の正方形はEG、GF上の正方形の和と等しいので、FC上の正方形CG、GF上の正方形の和と等しい。それゆえ、AE、ECに囲まれている長方形とFE上の正方形の和はFC上の正方形と等しい。命題T.47

そして、FCはFBと等しいので、AE、ECに囲まれている長方形とEF上の正方形の和はFB上の正方形と等しい。

同様な理由で、DE、EBに囲まれている長方形とFE上の正方形の和もFB上の正方形と等しい。

しかし、AE、ECに囲まれている長方形とFE上の正方形の和はFB上の正方形と等しいことも証明されているので、AE、ECに囲まれている長方形とEF上の正方形の和はDE、EBに囲まれている長方形とFE上の正方形の和と等しい。

おのおのからFE上の正方形をひきなさい。それゆえ、残りのAE、ECに囲まれている長方形はDE、EBに囲まれている長方形と等しい。

それゆえ、円で2つの弦が互いに交わるならば、一方の弦の2つの部分によって囲まれている長方形は他方の弦の2つの部分によって囲まれている長方形と等しい。

証明終了


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