命題36

「点が円の外部にとられ、それから2つの直線が円にひかれ、それらのうちの一方は円を切り、他方はそれと接するならば、円を切る線分全体と外部にその点と凸形の弧の間に切り取られた線分に囲まれている長方形は接線上の正方形と等しい。」

 

円ABCの外部に点Dをとり、Dから円ABCにひかれる2つの線分をDCA、DBとせよ。DCAは円ABCを切り、BDはそれと接するとせよ。

AD、DCに囲まれている長方形はDB上の正方形と等しいことをいう。

そのとき、DCAは中心を通るか中心を通らないかのどちらかである。

まず、中心を通るとし、円ABCの中心をFとせよ。FBを結びなさい。それゆえ、角FBDは直角である。命題V.8

そして、ACはFで2等分され、CDはそれに加えられるので、AD、DCに囲まれている長方形とFC上の正方形の和はFD上の正方形と等しい。

しかし、FCはFBと等しいので、AD、DCに囲まれている長方形とFB上の正方形はFD上の正方形と等しい。

そして、FB、BD上の正方形の和はFD上の正方形と等しいので、AD、DCに囲まれている長方形とFB上の正方形はFB、BD上の正方形の和と等しい。命題T.47

おのおのからFB上の正方形をひきなさい。それゆえ、残りのAD、DCに囲まれている長方形は接線DB上の正方形と等しい。

 

また、DCAを円ABCの中心を通らないとせよ。中心Eをとり、EからACに垂直なEFをひきなさい。EB、EC、EDを結びなさい。

そのとき、角EBDは直角である。命題V.18

そして、中心を通る線分EFは中心を通らない弦ACと直角に交わっていて、それはまた2等分するので、AFはFCと等しい。命題V.3

いま、弦ACは点Fで2等分され、CDはそれに加えられているので、AD、DCに囲まれている長方形とFC上の正方形の和はFD上の正方形と等しい。命題U.6

おのおのにFE上の正方形を加えなさい。それゆえ、AD、DCに囲まれている長方形とCF、FE上の正方形の和はFD、FE上の正方形と等しい。

しかし、EC上の正方形はCF、FE上の正方形の和と等しい。なぜなら、EFCは直角である。そして、ED上の正方形はDF、FE上の正方形の和と等しいので、AD、DCに囲まれている長方形とEC上の正方形の和はED上の正方形と等しい。命題T.47

そして、ECはEBと等しいので、AD、DCに囲まれている長方形とEB上の正方形の和はED上の正方形と等しい。

しかし、EB、BD上の正方形の和はED上の正方形と等しい。なぜなら、EBDは直角である。それゆえ、AD、DCに囲まれている長方形とEB上の正方形の和はEB、BD上の正方形の和と等しい。命題T.47

おのおのからEB上の正方形をひきなさい。それゆえ、残りのAD、DCに囲まれている長方形はDB上の正方形と等しい。

それゆえ、点が円の外部にとられ、それから2つの直線が円にひかれ、それらのうちの一方は円を切り、他方はそれと接するならば、円を切る線分全体と外部にその点と凸形の弧の間に切り取られた線分に囲まれている長方形は接線上の正方形と等しい。

証明終了


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