命題15

「与えられた円に等辺等角な六角形を内接させること」

 

与えられた円をABCDEFとせよ。

円ABCDEFに等辺等角な六角形を内接させることが要求されている。

円ABCDEFの直径ADをひきなさい。円の中心Gをとりなさい。

中心D、半径DGをもつ円EGCHをかきなさい。

EG、CGを結び、点B、Fまでそれらを延長しなさい。AB、BC、CD、DE、EF、FAを結びなさい。

六角形ABCDEFは等辺等角であることをいう。

点Gは円ABCDEFの中心なので、GEはGDと等しい。

また、点Dは円GCHの中心なので、DEはDGと等しい。

しかし、GEはGDと等しいことが証明されていた。それゆえ、GEもEDと等しい。それゆえ、三角形EGDは等辺である。そして、その3角EGD、GDE、DEGは互いに等しい。なぜなら、二等辺三角形の底辺における角は互いに等しい。命題T.5

そして、三角形の3角の和は2直角と等しいので、角EGDは2直角の1/3である。命題T.32

同様にして、 角DGCも2直角の1/3であることが証明できる。

そして、EB上に立っている線分CGは接角EGC、CGBの和を2直角と等しくさせるので、残りの角CGBも2直角の1/3である。

それゆえ、角EGD、DGC、CGBは互いに等しい。したがって、それらの対頂角BGA、AGF、FGEは等しい。命題T.15

それゆえ、6角EGD、DGC、CGB、BGA、AGF、FGEは互いに等しい。

しかし、等しい角が等しい弧の上に立っているので、6つの弧AB、BC、CD、DE、EF、FAは互いに等しい。命題V.26

そして、等しい弧を切り取る弦は等しいので、6線分は互いに等しい。それゆえ、六角形ABCDEFは等辺である。命題V.29

つぎに、それはまた等角であることをいう。

弧FAは弧EDと等しいので、おのおのに弧ABCDを加えなさい。それゆえ、FABCD全体はEDCBA全体と等しい。

そして、角FEDは弧FABCD上に立っていて、角AFEは弧EDCBA上に立っているので、角AFEは角DEFと等しい。命題V.27

同様にして、六角形ABCDEFの残りの角も1つずつ角AFE、FEDのそれぞれと等しいことが証明できる。それゆえ、六角形ABCDFは等角である。

しかし、等辺であることも証明されていた。そして、それは円ABCDEFに内接している。

それゆえ、等辺等角な六角形は与えられた円に内接している。

作業終了

このことから、六角形の辺は円の半径と等しいことが明らかである。

そして、この前の五角形の場合のように、円周上の区分点を通って円の接線をひくならば、五角形の場合にいわれたように等辺等角な六角形が円に外接させるであろう。

そして、さらに、五角形の場合にいわれたように、与えられた六角形に円を内接したり外接させることができる。


第4巻命題14へ 第4巻命題16へ 第4巻目次へ