Lemma

ある線分上に,正方形だけ欠けている平行四辺形が作られるならば,
その作られた平行四辺形は, その結果作られた線分の二つの部分によって,
囲まれた長方形に等しい。

線分AB上に正方形DBだけ欠けている平行四辺形ADをつくる。

DBは正方形なのでDCはCBに等しく, ADは長方形AC,CDすなわち,長方形AC,CBである。

よって,ADはAC,CBでできた長方形に等しい。

命題17

不等な二つの線分があり,大きい線分上に小さい線分でできた正方形の4分の1に等しく,
正方形だけ欠けている平行四辺形をつくり,
それを長さにおいて通約できる二つの部分に分けるならば,
大きい線分でできた正方形は小さい線分でできた正方形より,
大きい線分と通約可能な線分でできた正方形だけ大きい。

また,大きい線分でできた正方形が小さい線分でできた正方形より
大きい線分と通約可能な線分でできた正方形だけ大きく,
小さい線分でできた正方形の四分の一に等しく,正方形だけ欠けている平行四辺形が
大きい線分で作られるならば, それを長さにおいて,通約可能な二つの部分に分ける。

A,BCを不等な二つの線分とし,BCのほうが大きいとする。

小さい線分Aでできた正方形の4分の1,すなわちAの半分でできた正方形に等しくて,正方形だけ欠けている平行四辺形がBC上につくる。それを長方形BD,DCとし,
BDはDCと長さにおいて通約可能であるとする。

BCでできた正方形はAでできた正方形よりBCと通約可能な 線分でできた正方形だけ大きいことを示す。

BCを点Eで二等分し,その二等分された, EFをDEに等しくする。 T.10 T.3

ゆえに,残りのDCはBFに等しい。

そして,線分BCはEで等しい二つの部分に, Dで不等な二つの部分に分けられたので,
BD,DCによって囲まれる長方形とEDでできた正方形の和は ECでできた正方形に等しい。
4倍についても同じことがいえる。
U.5

つまり,長方形BD,DCの4倍と,DEでできた正方形の 4倍との和はECでできた正方形の4倍に等しい。

また,Aでできた正方形は長方形BD,DCの4倍に等しく, DFはDEの2倍だから, DFでできた正方形はDEでできた正方形の4倍に等しい。

また,BCはCEの2倍であるので, BCでできた正方形はECでできた正方形の4倍に等しい。

ゆえに,A,DFでできた2つの正方形の和はBCでできた正方形に等しい。

よって,BCでできた正方形はAでできた正方形より DFでできた正方形だけ大きい。

BCがDFと通約可能であることを示す。

BDはDCと長さにおいて通約可能なので, BCはCDと長さにおいて通約可能。 ].15

また,CDはBFに等しいので, CDはCD,BFと長さにおいて通約可能である。 ].6

ゆえに,BCはBF,CDを長さにおいて通約可能。 したがって,BCは残りのFDと長さにおいて通約可能。 ].12

よって,BCでできた正方形はAでできた正方形より, BCと通約可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].15

次に,BCでできた正方形がAでできた正方形よりBCと通約可能な線分でできた正方形だけ おおきいとし,
Aでできた正方形の4分の1に等しく, 正方形だけ欠けている。 平行四辺形がBC上に作られたとし
それを長方形BD,DCとする。

BDがDCと長さにおいて通約可能であることを示す。 ].15

同じ作図がなされたとき,BCでできた正方形がAでできた正方形より FDでできた正方形だけ大きいことを示した。

そして,BCでできた正方形はAでできた正方形より BCと通約可能な線分でできた正方形だけ大きい。

ゆえに,BCはFDと長さにおいて通約可能。
したがって,BCはのこりのBF,DCの和と長さにおいて,通約可能。
また,BF,DCの和はDCと通約可能。

よって,BCはCDと長さにおいて通約可能。
したがって,BDはDCと長さにおいて通約可能。 
].6 ].12 ].15

証明終了


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