命題42

二項線分は一点だけでその項に分けられる。

ABはCでその項に分けられる二項線分とする。

このとき,ACとCBは平方においてのみ通約可能な有理線分である。

ABが他の点で二つの有理線分に分けられないことを示す。

ADとDBが平方においてのみ通約可能な 有理線分であるようにDで分けられるとする。

ACはDBと同じでないことは明らかである。

可能ならば,ACはDBと同じであるとする。

このとき,ADはCBと同じであり, ACがCBに対するように,BDはDAに対する。

ABはCで分けられたようにDで分けられる。 これは仮定に矛盾。

ゆえに,ACはDBと同じでない。

よって,点C,Dは二等分点から等距離でない。

したがって,AC,CBでできた二つの正方形とAC,CBでできた長方形の 二倍との和とAD,DBでできた二つの正方形とAD,DBでできた長方形の二倍との 和はABでできた正方形に等しいので, AC,CBでできた正方形の和とAD,DBでできた長方形の二倍と AC,CBでできた長方形の二倍との差に等しい。 U.4

また,AC,CBでできた正方形の和と,AD,DBでできた正方形の和は有理面積なので,
その差は有理面積である。

ゆえに,AD,DBでできた長方形の 二倍とAC,CBでできた長方形の二倍は中項面積である。

しかし,その差は有理面積である。

中項面積と中項面積との差は有理面積でないので,これは矛盾。 ].21 ].26

ゆえに,二項線分は異なった二点で,分けられない。

よって,二項線分は一点だけで分けられる。

証明終了


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