命題26

中項面積は有理面積だけ中項面積を超えない

中項面積ABが有理面積DBだけ中項面積ACを こえることができるとする。

有理な直線をEFとおく。

長方形ABに等しく,EHを幅とする長方形FHがEF上につくられる。

長方形ACに等しい長方形FGをFHからひく,
そうすると残りのBDは残りのKHに等しい。

DBは有理で,ゆえにKHも有理である。

長方形ABとACはそれぞれ中項面積なので, ABがFHに等しいようにACがFGに等しく,
ゆえに長方形FHとFGもそれぞれ中項面積である。

それらは有理線分EF上につくられている。

ゆえに,直線HEとEGは有理であり, FEとそれぞれ長さにおいて通約不可能である。 ].22

DB は有理で,KHに等しいのでゆえにKHも有理である。

そして,それは有理線分EFでつくられている。
ゆえにGHは有理でEFと長さにおいて通約可能である。
].20

EGも有理で,EFと長さにおいて通約不可能。

ゆえに,EGはGHと長さにおいて通約不可能。 ].13

また,EGがGHに対するようにEGでできた正方形は
EGとGHでできた長方形に対するので, EGでできた正方形はEGとGHでできた長方形と通約不可能である。
].11

EGとGHでできた正方形の和はEGでできた正方形と通約可能であり,
両方とも有理である。

EGとGHでできた長方形の二倍は EGとGHでできた長方形と通約可能である。 ].6 ].13

ゆえに,EGとGHでできた正方形の和は, EGとGHでできた長方形の二倍と通約不可能である。

ゆえに,EGとGHでできた正方形の和とEGとGHでできた長方形の二倍を加えたもの,
つまりEHでできた正方形はEGとGHでできた正方形の和と通約不可能である。
U.6 ].16

また,EGとGHでできた正方形の和は有理で
ゆえに,EHでできた正方形は無理である。

ゆえに,EHは無理
しかし,有理でもあるので矛盾
].Def.4

よって,FHがHKに対するように,HKはKLに対する。

したがって,FK,KLでできた長方形はHK上の正方形に等しい。 Y.1 X.11 Y.17

また,FH,KLでできた長方形は有理面積である。

ゆえに,HK上の正方形は有理面積である。

よって,HKは有理線分である。

HKがFGと長さにおいて通約可能ならば, HNは有理面積で
HKがFGと長さにおいて通約不可能ならば, KH,HMは正方形だけにおいて通約可能な有理線分である。

ゆえに,HNは中項面積である。 ].19 ].21

よって,HNは有理面積か中項面積である。

また,HNはACに等しい。

よって,ACは有理面積か中項面積かのどちらかである。

証明終了


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