命題53

第六の二項線分を見つける

二つの数をAC,CBとする。
ABはそれらの両方ともと平方数であらわせる比を持たないとする。

また,他の数をDは,平方数ではなく,
BAとACの両方に対して平方数であらわせる比を持たない。

ある有理線分をEとし,
DがABに対するようにE上の正方形がFG上の正方形に対するようにEをとる。

そのとき,E上の正方形はFG上の正方形と通約可能である。
また,Eは有理なので,ゆえにFGも有理。
].6.Cor. ].6

DはABに対して平方数であらわせる比を持たないので, E上の正方形もFG上の正方形に対して平方数であらわせる比を持たない。

ゆえに,EはFGと長さにおいて通約不可能。 ].9

さらに,BAがACに対するように FG上の正方形がGH上の正方形に対するように,GHをとる。

そのとき,FG上の正方形はHG上の正方形と通約可能。 ].6.Cor. ].6

ゆえに,HG上の正方形は有理。ゆえに,HGは有理。

またBAはACに対して平方数であらわせる比を持たないので, FG上の正方形もGH上の正方形に対して平方数であらわせる比を持たない。

ゆえに,FGはGHと長さにおいて通約不可能。 ].9

したがって,FGとGHは平方においてのみ 通約可能な有理線分であるので,FHは二項線分である。 ].9

つぎに,FHが第六の二項線分であることを示す。

DがABに対するようにE上の正方形がFG上の正方形に対し,
BAがACに対するようにFG上の正方形がGH上の正方形に対する。

ゆえに,等比の理より, DがACにたいするようにE上の正方形がGH上の正方形に対する。 X.22

しかし,DはACに対して平方数であらわせる比を持たないので,
同様にE上の正方形はGH上の正方形に対して,平方数であらわせる比を持たない。

ゆえに,EとGHは長さにおいて通約不可能である。 ].9

また,EがFGと通約不可能であることはすでに証明されているので, FGとGHは有理線分Eと長さにおいて通約不可能である。

また,BAがACに対するようにFG上の正方形はGH上の正方形に対するので, FG上の正方形はGH上の正方形より大きい。

GH上,K上の正方形の和がFG上の正方形に等しいとする。

このとき,ABがBCに対するようにFG上の正方形はK上の正方形に対する
しかし,ABはBCに対して平方数であらわせる比を持たないので,
すなわちFG上の正方形もK上の正方形に対して平方数であらわせる比を持たない。
X.19.Cor.

ゆえに,FGはKと長さにおいて通約不可能。

よって,FG上の正方形はGH上の正方形より FGと通約不可能な直線K上の正方形だけ大きい。 ].9

また,FGとGHは平方においてのみ通約可能な有理線分であり,
有理線分Eと長さにおいて通約可能ではない。

したがって,FHは第六の二項線分である。

証明終了


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