Lemma

二つの正方形AB,BCがあり,DBがBEと同一直線上にあるようにする。
そのときFBもBGと同一直線上にある。そして平行四辺形ACが完成されたとする。

ここで,ACは正方形であり,DBはAB,BCの 比例中項さらにDCはAC,CBの比例中項であることを示す。

DBはBFと等しいので,BEとBGも等しい。 よって,全体のDEと全体のFGも等しい。

ここでDEは直線AH,KCのそれぞれと等しい。そしてFGは直線AKとHCと等しい。
よって,AH,KCはAK,HCと等しい。
T.34

よって,平行四辺形ACは等辺形である。そして長方形でもある。
よってACは正方形である。

FBがBGに対するようにDBもBEに対する。 一方FBがBGに対するようにABがDGに対する。
そしてDBがBEに対するようにDGがBCに対する。 よってABがDGに対するように,DGがBCに対する。
Y.1 Y.11

よって,DGはABとBCの比例中項である。

つぎに,DCもACとCBの比例中項であることを示す。

ADがDKに対するようにKGはGCに対し,それぞれは等しいので あわせたAKに対するKDはKCがCGに対するのと等しい。 X.18

一方AKがKDに対するようにACがCDに対する。 そしてKCがCGに対するようにDCがCBに対する。
よってACがDCに対するようにDCがBCに対する。
Y.1 Y.11

よって,DCはAC,CBの比例中項である。

命題54

有理線分と第一の二項線分で作られる面積ならば,
その時,その面積と等しい 正方形の一辺は無理線分で二項線分とよばれる。

面積ACは有理線分ABと第一の二項線分ADでつくられているとする。

ACと同じ面積の正方形の一辺が二項線分と 呼ばれる無理線分であることを示す。

ADは第一の二項線分であるので,Eで分割される。 そしてAEのほうが大きいとする。

そのときAEとEDは平方においてのみ 通約可能でAEの正方形はEDの正方形より AEと通約可能な直線上の正方形だけ大きく。
AEは有理線分ABと長さにおいて通約可能であることは明らかである。
].Def,U.1

EDをFでに等分する。

このとき,AEの正方形はEDの正方形より AEと通約可能な直線上の正方形だけ大きい。

よって,もし大きいほうAE上に,小さいほうの線分上の正方形の四分の一, つまりEF上の正方形に等しく正方形だけ欠けている平行四辺形が あるならば, その時それを通約可能な部分に分ける。 ].17

AE上にEF上の正方形と等しい長方形AG,GEがあるとする。

そのときAGはEGと長さにおいて通約可能である。

G,E,Fからそれぞれ直線AB,CDと平行なGH,EK,FLを描く。

平行四辺形AHに等しい正方形SNが作られ, GKに等しい正方形NQが作られたとする。

MNがNOと同一直線上になるようにし, またRNもNPと同一直線上になるようにする。
そして平行四辺形SQが完成し,SQは正方形である。
U.4

ここで長方形AG,GEは正方形EFと等しいので, AGがEFに対するようにFEがEGに対する。 Y.17

よって,AHがELに対するようにELがKGに対する。
よって,ELはAHとGKの比例中項である。
Y.1

ここで,AHとSNは等しくGKとNQも等しいので, ELはSNとNGの比例中項である。
しかし,MRも同じSNとNQの比例中項である。

よってELとMRは等しく,つまりPOにも等しい。

ここで,AHとGKもSNとNGに等しい。
よって全体のACは全体のSQと等しい。つまり,それはMO上の正方形と等しく MOはACと同じ面積の正方形の一辺となる。

次にMOが二項線分であることを示す。

AGはGEと通約可能であるので AEもAG,GEのそれぞれと通約可能である。 ].15

ここで,AEも仮定よりABと通約可能よって, AGとGEもABと通約可能である。
そしてABは有理,よって,AG,GEも有理である。
].12

よって,長方形AH.GKも有理でAHはGKと通約可能である。 ].19

しかし,AHはSNと等しくGKはNQと等しい,よって,SNとNQの和 つまり,MN上,NO上の正方形は有理で,通約可能である。

AEはEDと長さにおいて通約不可能。一方AEはAGと通約可能。

そしてDEはEFと通約可能。
よってAGもEFと通約不可能でAHもELと通約不可能である。
].13 Y.1 ].11

しかしAHはSNとELはMRと等しいので,SNもMRと通約不可能。
しかし,SNがMRに対するようにPNがNRに対するのでPNはNRと通約不可能。
しかしPNはMNとNRはNOと等しい。よって,MNはNOと通約不可能。
Y.1 ].11

そしてMN上の正方形はNO上の正方形と 通約可能で,それぞれが有理である。

よって,MNとNOは平方においてのみ通約可能な有理線分である。

よって,MOはACと等しい正方形の一辺である二項線分である。 ].36

証明終了


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