命題103

「余線分と長さにおいて通約可能な線分は余線分であり、順位において同じである」

ABを余線分とし、CDはABと長さにおいて通約可能であるとする。

CDが余線分でABと順位において同じであることを示す。

ABは余線分なのでBEはそれの付加とする。よって、AE,EBは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 ].73

BEのDFに対する比はABのCDに対する比と同じであるとする。このとき、1つの項が1つの項に対するように全体の項が全体の項に対する。よって、全体AEが全体CFに対するようにABはCDに対する。 Y.12 X.12

また、ABはCDと長さにおいて通約可能である。  ゆえに、AEはCF、BEはDFと通約可能である。 ].11

AE,EBは平方においてのみ通約可能な有理線分である。  よって、CF,FDは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 ].13

AEがCFに対するようにBEがDFに対するので、AEがEBに対するようにCFがFDに対する。AEでできた正方形はEBでできた正方形よりAEと通約可能な線分でできた正方形または、AEと通約不可能な線分でできた正方形だけ大きい。 X.16

AEでできた正方形がEBでできた正方形よりAEと通約可能な線分でできた正方形だけ大きいならば、CFでできた正方形はFDでできた正方形よりCFと通約可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].14

そして、AEが定められた有理線分と長さにおいて通約可能ならば、CFは定められた有理線分と長さにおいて通約可能である。BEが定められた有理線分と長さにおいて通約可能ならば、DFは定められた有理線分と長さにおいて通約可能である。AE,EBが定められた有理線分と長さにおいて通約不可能ならば、CF,FDは定められた有理線分と長さにおいて通約不可能である。 ].12 ].13

また、AEでできた正方形がEBでできた正方形よりAEと通約不可能な線分でできた正方形だけ大きいならば、CFでできた正方形はFDでできた正方形よりCFと通約不可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].14

そして、AEが定められた有理線分と長さにおいて通約不可能ならば、CFは定められた有理線分と長さにおいて通約可能である。  BEが定められた有理線分と長さにおいて通約可能ならば、DFは定められた有理線分と長さにおいて通約可能である。  AE,EBが定められた有理線分と長さにおいて通約不可能ならば、CF,FDは定められた有理線分と長さにおいて通約不可能である。  よって、CDは余線分であり、ABと順位において同じである。 ].12 ].13

したがって,余線分と長さにおいて通約可能な線分は余線分であり、順位において同じである。

証明終了


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