命題102

「二つの中項面積の差に等しい正方形の一辺上の正方形に等しい長方形が有理線分上につくられるならば,第6の余線分を幅とする」

ABを二つの中項面積に等しい正方形の一辺とし,CDを有理線分とする。AB上の正方形に等しいCEをCD上に作り,CFを幅とする。

CFが第6の余線分であることを示す。

BGをABに付加する。そのときAGとGBは平方において通約不可能でAG上,GB上の正方形の和は中項で,長方形AG,GBの2倍は中項で,AG上,GB上の正方形の和は長方形AG,GBの2倍と通約不可能である。 ].78

ここでCD上にAG上の正方形に等しくCKを幅とするCHをつくりKLにBG上の正方形に等しいとする。そのとき全体のCLはAG上,GB上の正方形の和に等しい。よってCLも中項である。

そしてCLは有理線分CD上にあり,CMを幅とするのでCMは有理で,CDと長さにおいて通約不可能な有理線分である。 ].22

CLはAG上,GB上の正方形の和に等しくCEはAB上の正方形に等しい。よって残りのFLは長方形AG,GBの2倍に等しい。そして長方形AG,GBの2倍は中項。よってFLも中項である。 U.7

そしてFLは有理線分FL上にありFMを幅としているので,FMはCDと長さにおいて通約不可能な有理線分である。 ].22

AG上,GB上の正方形の和は長方形AG,GBの二倍と通約不可能である。CLはAG上,GB上の正方形の和に等しく。FLは長方形AG,GBの二倍と等しい。よってCLはFLと通約不可能である。

しかしここでCLはFLに対するようにCMがMFに対する。よってCMはMFと長さにおいて通約不可能,そして両方とも有理。 Y.1 ].11

よってCM.MFは平方においてのみ通約可能な有理線分である。よってCFは余線分である。 ].73

次に第6の余線分であることを示す。

FLは長方形AG,GBの2倍に等しい。 FMをNで2等分し,CDに平行にNからNOを描く。 よって,FO,NLのそれぞれは長方形AG,GBに等しい。

そしてAG,GBは平方において通約不可能なのでAG上の正方形はGB上の正方形と通約不可能である。

しかしここで,CHはAG上の正方形に等しく,KLはGB上の正方形に等しい。よってCHはKLと通約不可能である。

しかしここで,CHがKLに対するようにCKがKMに対する。よって,CKはKMと通約不可能である。 Y.1 ].11

長方形AG,GBはAG上の正方形,GB上の正方形の比例中項であり,CHはAG上の正方形に等しく,KLはGB上の正方形に等しく,NLは長方形AG,GBに等しい。 よってNLはCHとKLの比例中項である。よってCHがNLに対するようにNLがKLに対する。

そして同様にしてCM上の正方形はMF上の正方形より,CMと通約不可能な直線上の正方形だけ大きい。 ].18

そしてそれらの両方ともCDと通約不可能である。 よってCFは第6の余線分である。 ].Def.V.6

したがって,二つの中項面積の差に等しい正方形の一辺上の正方形に等しい長方形が有理線分上につくられるならば,第6の余線分を幅とする。

証明終了


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