Lemma1

和が平方数であるような二つの平方数を見つける。

二つの数をAB,BCとする。 AB,BCはともに偶数か奇数かのどちらかである。

このとき,偶数から偶数をひいても, 奇数から奇数をひいても残りは偶数になるので, 残りのACは偶数である。

\.24 \.26

ACはDで二等分されるとする。

ABとBCは相似な平面数か 相似な平面である平方数かのどちらかである。

AB,BCの積とCDの平方数の和はBDの平方数に等しい。

互いにかけられた二つの相似な平面数がある数をつくるならば, その積は平方数であることが前に証明されたので, そのことより,AB,BCの積は平方数である。

ゆえに,二つの平方数,すなわち,AB,BCの積とCDの平方数が見つけられ, それらを加えたとき,BDに平方数をつくる。 U.6 \.1

そして,二つの平方数すなわち,BDの平方数とCDの平方数が見つけられ, それらの差すなわち, AB,BCの積はAB,BCがどんな相似な平面数であっても, 平方数であることは明らかである。

しかし,AB,BCが相似な平面数でないとき, 二つの平方数すなわち,BDの平方数とDCの平方数が見つけられ, それらの差すなわちAB,BCの積は平方数でない。

Lemma2

和が平方数であるような二つの平方数を見つける。

AB,BCの積は平方数,CAは偶数とする。

このとき,AB,BCの積である平方数と CDの平方数との和はBDの平方数に等しいことが明らかである。

単位DEがひたれたとすると,
AB,BCの積とCEの平方数との和は,BDの平方数より小さい

このとき,AB,BCの積とCEの平方数の和が平方数でないことを示す。

もし,平方数であるならば,単位は分けられないので
AB,BCの積とCEの平方数の和は,BEの平方数に等しいか, BEの平方数より小さいかのどちらかであり,大きいことはない。

AB,BCの積とCEの平方数との和はBEの平方数に等しいことを示す。

もし可能ならば,GAは単位DEの二倍であるとする。

AC全体はCD全体の二倍であり, AGはDEの二倍であるので,残りのGCは残りのECの二倍である。

ゆえに,GCはEで二等分される。

よって,GB,BCの積とCEの平方数との和はBEの平方数に等しい。 U.6

しかし,AB,BCの積と CEの平方数との和は仮定により,BEの平方数に等しい。

ゆえに,GB,BCの積とCEの平方数との和は AB,BCの積とCEの平方数との和に等しい。

共通のCEの平方数がひかれるなら,ABはGBと等しい。
これは,矛盾である。

よって,AB,BCの積と CEの平方数との和は,BEの平方数に等しくない。

次に,AB,BCの積とCEの平方数の和が BEの平方数より小さくないことを示す。

もし,可能ならば,BFの平方数に等しくHAがDFの二倍であるとする。

HCはCFの二倍であるだろう。
ゆえに,CHはFで二等分され, HB,BCの積とFCの平方数との和はBFの平方数に等しい。
U.6

しかし,仮定により, AB,BCの積とCEの平方数との和はBFの平方数に等しい。

ゆえに,HB,BCの積とCFの平方数との和は AB,BCの積とCEの平方数との和に等しい。
これは矛盾である。

よって,AB,BCの積とCEの平方数との和は BEの平方数より小さくない。

また,AB,BCの積とCEの平方数との和は BEの平方数に等しくないことが前に証明された。

よって,AB,BCの積とCEの平方数との和は平方数でない。

命題29

大きい線分でできた正方形が小さい線分でできた正方形より 大きい線分と長さにおいて
通約可能な線分でできた正方形だけ 大きいような平方においてのみ通約可能な
二つの有理線分を見つける。

ある有理線分をAB,その差CEが平方数でないような 二つの平方数をCD,DEとおく。

AB上に半円AFBを描き,DCがCEに対するように, BAでできた正方形がAFでできた正方形に対するとする。
FBが結ばれたとする。
].6.Cor.

BAでできた正方形がAFでできた正方形に対するようにDCはCEに対するので,BAでできた正方形は AFでできた正方形に対し数DCが数CEに対する比をもつ。

ゆえに,BAでできた正方形はAFでできた正方形と通約可能である。 ].6.Cor.

また,ABでできた正方形は有理面積である。

ゆえに,AFでできた正方形は有理面積である。

よって,AFは有理線分である。 ].Def.4

そして,DCはCEに対し,平方数が平方数に対する比をもたないので, BAでできた正方形は, AFでできた正方形に対し,平方数が平方数に対する比をもたない。

ゆえに,ABはAFと長さにおいて通約不可能。 ].9

よって,BA,AFは平方においてのみ通約可能な有理線分である。

そして,DCがCEに対するように, BAでできた正方形はAFでできた正方形に対するので, CDがDEに対するように, ABでできた正方形はBFでできた正方形に対する。 X.19.Cor. V.31 T.47

また,CDはDEに対し,平方数が平方数に対する比をもつ。

ゆえに,ABでできた正方形はBFでできた正方形に対し, 平方数が平方数に対する比をもつ。
よって,ABはBFと長さにおいて通約可能
].9

そして,ABでできた正方形はAF,FBでできた正方形の和に等しい。

ゆえに,ABでできた正方形はAFでできた正方形より ABと通約可能なBFでできた正方形だけ大きい。

証明終了


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