命題36

平方においてのみ通約可能な二つの有理線分が足されるときそれ全体は無理線分である。
これを二項線分と呼ぶ。

平方においてのみ通約可能な二つの有理線分をAB,BCとし, 足されてひとつになるする。

全体のACが無理であることを示す。

ABはBCと平方においてのみ通約可能であり, 長さにおいて通約不可能なのでABがBCに対するように, 長方形AB,BCがBCでできた正方形に対する。

ゆえに,長方形AB,BCはBCでできた正方形は通約不可能である。 ].11

また,長方形AB,BCの二倍は長方形AB,BCと通約可能であり, ABとBCは平方においてのみ通約可能な有理線分なのでABでできた正方形と BCでできた正方形の和はBCでできた正方形と通約可能

よって,長方形AB,BCの二倍はABでできた正方形と BCでできた正方形の和と通約不可能 ].6 ].15 ].13

また,長方形AB,BCの二倍とABでできた正方形とBCでできた正方形の和をあわせたもの
すなわちACでできた正方形の和と通約不可能
U.4 ].16

また,ABでできた正方形とBでできた正方形の和は有理で,
ゆえにACでできた正方形は無理。

すなわち,ACは無理,これを二項線分と呼ぶ。 ].Def.4

証明終了


第10巻命題35へ 第10巻命題37へ 第10巻目次へ