命題35

平方において通約不可能であり,
それぞれの線分でできた正方形の和が中項であり, 中項な長方形に含まれ,
その長方形と二つの直線の正方形の和が 通約不可能であるような二つの直線を見つける。

二つの中項線分AB,BCは平方においてのみ通約可能で, 中項な長方形に含まれ,
AB上の正方形は,BC上の正方形よりABと通約不可能である 直線上の正方形によって大きいことがいえるとする。

AB上に半円ADBを描く。作図の残りは前と同様。 ].31

AFはFBと長さにおいて通約不可能なので, ADもDBと平方において通約不可能である。 ].18 ].11

AB上の正方形は中項なので, AD上とDB上の正方形の合計も中項である。 V.31 T.47

AFとFBの長方形は直線BEとDFのそれぞれの正方形と等しい。

よって,BEはDFと等しい。

よって,BCはFDの二倍であり, ABとBCの長方形もABとFDの長方形の二倍である。

しかしABとBCの長方形は中項なのでABとFDの長方形も中項である。 ].32

そしてそれは,ADとDBの長方形と等しいので, ADとDBの長方形も中項である。 ].33.Lemma

ABはBCと長さにおいて, 通約不可能なので,CBはBEと通約可能である。

よって,ABもBEと長さにおいて通約不可能。
AB上の正方形もABとBEの長方形と通約不可能。
].13 ].11

ここで,AD上とDB上の正方形の和はAB上の正方形に等しい。

そしてそれはABとFDの長方形である。
つまり,ADとDBの長方形はABとBEの長方形と等しい。

よって,AD上とDB上の正方形の和は ADとDBの長方形と通約不可能である。 T.47

よって,二つの直線ADとDBは平方において通約不可能であり,
それぞれの線分でできた正方形の和が中項であり, 中項な長方形に含まれその長方形と 二つの直線上の正方形の和が通約不可能である。

証明終了


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