命題50

第三の二項線分を見つける

二つの数AC,CBとする。

それらの和ABはBCに対して,平方数であらわせる比を持つが ACに対しては平方数であらわせる比を
持たない。

他の数をDとし,平方数でないとする。
また,それは,BA,ACのどちらに対しても平方数であらわせる比を持たないとする。

有理線分をEとし,DがABに対するように E上の正方形がFG上の正方形に対するようにEをとる。

このときE上の正方形はFG上の正方形と通約可能である。 ].6.Cor. ].6

またEは有理で,ゆえにFGも有理

そしてDはABに対して平方数であらわせる比を持たないので ゆえにEはFGと長さにおいて通約不可能である。 ].9

次に数BAが数ACに対するように FG上の正方形がGH上の正方形に対するようにする。

そのとき,FG上の正方形はGH上の正方形と通約可能。 ].6.Cor. ].6

また,FGは有理で,ゆえに,GHも有理。

またBAはACに対して平方数であらわせる比を持たないので,
同様にFG上の正方形は HG上の正方形に対して平方数であらわせる比を持たない。

ゆえにFGはGHと長さにおいて通約不可能。 ].9

したがって,FGとGHは平方においてのみ通約可能な有理線分である。

ゆえにFHは二項線分である。 ].36

次に,それは第三の二項線分であることを示す。

DがABに対するようにE上の正方形はFG上の正方形に対し,
BAがACに対するようにFG上の正方形はGH上の正方形に対するので,
等比の理よりDがACに対するように, E上の正方形はGH上の正方形に対する。
X.22

またDはACに対して平方数であらわせる比を持たないので,
ゆえに,同様にE上の正方形はGH上の正方形に対して平方数であらわせる比を持たない。

ゆえに,EはGHと長さにおいて通約不可能。 ].9

BAがACに対するようにFG上の正方形はGH上の正方形に対するので,
ゆえにFG上の正方形はGH上の正方形より大きい。

GH上の正方形とK上の正方形の和がFG上の正方形に等しいとする時
除比の理より,ABがBCに対するようにFG上の正方形がK上の正方形に対する。
X.19.Cor.

また,ABはBCに対して平方数であらわせる比を持つので,
ゆえに,FG上の正方形は K上の正方形に対して平方数であらわせる比を持つ。

ゆえにFGはKと長さにおいて通約可能である。

ゆえにFG上の正方形はGH上の正方形より FGと通約可能な線分K上の正方形だけ大きい。 ].9

また,FGとGHは平方においてのみ通約可能な有理線分で,
両方ともEと長さにおいて通約可能でない。

したがって,FHは第三の二項線分である。

証明終了


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