命題58

「面積が有理線分と第5の二項線分で囲まれているなら,その面積に等しい正方形の1辺は有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺と呼ばれる無理線分である」

面積ACは有理線分ABとEでその項に分けられた第5の二項線分ADとで囲まれ,AEは大きい項とする。
面積ACに等しい正方形の1辺は有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺と呼ばれる無理線分である事を示す。

前の証明と同じ作図をする。

MOは面積ACに等しい正方形の1辺である事は明らかである。MOが有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺である事を示す。

AGはGEと通約不可能なので,AHはHEと通約不可能である。すなわち,MNでできた正方形はNOでできた正方形と通約不可能である。].18

よって,MN,NOは平方において通約不可能である。Y.1 ].11

ADは第5の二項線分でEDはその小さい項なので,EDはABと長さにおいて通約可能である。また,AEはEDと通約不可能なので,ABはAEと長さにおいて通約不可能である。 ].Def.U.5

AEはEDと通約不可能なので,ゆえにABはAEと長さにおいて通約不可能である。ゆえに,AK,すなわちMN上,NO上の正方形の和は中項面積である。 ].13 ].21

DEは,ABと長さにおいて通約可能,すなわち,EKとも長さにおいて通約可能。また,DEはEFと通約可能なので,EFとEKも通約可能である。 ].12

EKは有理線分なので,ELすなわちMRすなわちMN,NOでできた長方形は有理面積である。].19

ゆえに,MN,NOはそれらの上の正方形の和を中項面積とし,それらによって囲まれた長方形を中項面積とする平方において通約不可能な線分である。
したがって,MOは有理面積と中項面積の和に等しい正方形の1辺と面積ACに等しい正方形の辺である。
].40

証明終了


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