命題57

有理線分と第四の二項線分でできた面積があるならば, その時その面積と等しい正方形の一辺 は無理線分であり,優線分と呼ばれる。

面積ACは有理線分ABとADよりAEのほうが大きくなるようにEで分けられる 第四の二項線分ADによって作られるとする。

ACと同じ面積の正方形の一辺が優線分と呼ばれる 無理線分であることを示す。

ADは第四の二項線分なので,AEとEDは平方においてのみ 通約可能な有理線分であり,
AE上の正方形はED上の正方形よりAEと通約不可能な直線上の 正方形だけ大きい。

そしてAEはABと長さにおいて通約不可能である。 ].Def.U.4

DEをFで二等分する。

長方形AG,GEはEF上の正方形に等しい。
このときAGはGEと長さにおいて通約不可能である。
].18

ABと平行にGH,EK,FLを描く。そして残りの作図は前と同様とする。

そのときMOはACの面積と等しい 正方形の一辺であることは明らかである。

次はMOが優線分と呼ばれる無理線分であることを示す。

AGはEGと通約不可能なのでAHもGKと通約不可能である。
つまり,SNとNQは通約不可能である。

よってMNとNOは平方において通約不可能である。 Y.1 ].11

AEとABは通約可能であるのでAKは有理である。そしてそれはMN上NO上の正方形の和と等しい。
よってMN上,NO上の正方形の和も有理である。
].19

DEはABと長さにおいて通約可能であるので, つまり,EKとも通約可能である。

一方DEはEFと通約可能なのでEFはEKと 長さにおいて通約不可能である。 ].13

よってEKとEFは平方においてのみ通約可能な有理線分である。

よってLEつまりMRは中項である。
そしてそれはMNとNOによって作られる。
よって長方形MN.NOは中項である。
].21

そして,MN上,NO上の正方形の和は有理で, MN,NOは平方において通約可能である。

しかしここでもし二つの直線が平方において通約不可能ならば,それらによってつくられる それぞれの正方形の和は有理となる。

しかしそれらによってつくられる長方形が中項で二つの直線が加えられるならば,
そのとき全体は無理で優線分と呼ばれる。

よってMOはACと面積と等しい正方形の一辺であり, 無理で優線分と呼ばれる。 ].39

証明終了


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