命題64

「有理面積と中項面積の和に等しい正方形の1辺でできた正方形に等しい長方形は,第5の二項線分を幅として有理線分上に作られる」

ABは有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺とし,Cで2つの線分に分けられ,ACはCBより大きいとする。有理線分DEが定められ,DE上にABでできた正方形に等しく,DGを幅とする平行四辺形DFが作られたとする。

DGが第5の二項線分である事を示す。

前と同様に作図をする。

ABはCで分けられた有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺であるので,AC,CBは平方において通約不可能な線分でAC,CBでできた正方形を中項面積であるとし,AC,CBで囲まれた長方形を有理面積である。 ].40

このとき,AC,CBでできた正方形の和は中項面積なので,DLは中項面積である。よって,DMは有理線分でDEと長さにおいて通約不可能である。 ].22

また,AC,CBでできた長方形の2倍,すなわちMFは有理面積なので,MGは有理面積で,DEと通約可能である。 ].20

よって,DMはMGと通約不可能である。 ゆえに,DM,MGは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 したがって,DGは二項線分である。 ].13 ].36

次に,DGが第5の二項線分である事を示す。

同様にして,DK,KMでできた長方形はMNでできた正方形に等しく,DKはKMと長さにおいて通約不可能である。よって,DMでできた正方形はMGでできた正方形よりDMと通約不可能な線分でできた正方形だけ大きい ].18

DMとMGは平方においてのみ通約可能で,小さい方のMGはDEと長さにおいて通約可能である。

ゆえに,DGは第5の二項線分である。

証明終了


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