命題79

「余線分にはそれに付加されて平方においてのみ全体と通約可能なただ1つの有理線分がある」

ABを余線分とし,BCがそれに付加されたとする。 このとき,AC,CBは平方においてのみ通約可能である。 ].73

ABにはそれに付加されて平方においてのみ通約可能な有理線分が他にない事を示す。

可能ならば,BDが付加されたとする。 このとき,AD,DBは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 ].73

AD,DBでできた正方形の和とAD,DBでできた長方形の2倍との差とAC,CBでできた正方形の和とAC,CBでできた長方形の2倍との差はABでできた正方形なので等しい。よって,入れ替えてAD,DBでできた正方形の和とAC,CBでできた正方形の和との差は,AD,DBでできた長方形の2倍とAC,CBでできた長方形の2倍との差に等しい。 U.7

また,AD,DBでできた正方形の和とAC,CBでできた正方形は有理面積なのでその差は有理面積である。ゆえに,AD,DBでできた長方形の2倍はAC,CBでできた長方形の2倍より有理面積だけ大きい。これは不可能である。なぜならば,その両方ともが中項面積で中項面積と中項面積との差は有理面積である事はない。 ].21 ].26

よって,ABにはそれに付加されて平方においてのみ通約可能な有理線分が他にはない。

ゆえに,ある有理線分は余線分にたされると全体と平方においてのみ通約可能である。

よって,余線分にはそれに付加されて平方においてのみ全体と通約可能なただ1つの有理線分がある。

証明終了


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