命題80

「第1の中項余線分には,それにたされると,全体と平方においてのみ通約可能で,全体とともに有理面積を囲むただ1つの中項線分がある」

第1の中項余線分をABとし,ABがBCにたされるとする。 そのときACとCBは平方においてのみ通約可能な中項線分であり,有理面積である長方形に含まれる。 ].74

他のどんな中項線分もABにたされて,全体と平方においてのみ通約可能で,全体とともに有理な長方形を囲むものはない事を示す。

もし可能ならば,DBがたされるとする。そのとき,ADとDBは平方においてのみ通約可能で有理面積である長方形AD,DBに含まれる。 ].74

AD上,DB上の正方形の和と長方形AD,DBの2倍との差は,AC上,CB上の正方形の和と長方形AC,CBの2倍との差に等しい。なぜならば,その差は同じAB上の正方形だからである。 ゆえに,AD上,DB上の正方形の和とAC上,CB上の正方形の和との差は,長方形AD,DBの2倍と長方形AC,CBの2倍との差に等しい。 U.7

また,長方形AD,DBの2倍と長方形AC,CBの2倍との差は有理面積である。なぜならば,2つの長方形はともに有理だからである。

ゆえに,AD上,DB上の正方形の和と,AC上,CB上の正方形の和との差も有理面積である事になるが,これは不可能。なぜならば,これらはともに中項面積で,中項面積から中項面積をひいても有理面積にはならないからである。 ].15 ].26

証明終了


第10巻命題79へ  第10巻命題81へ  第10巻目次へ