命題90

「第6の余線分を見つける」

有理線分をAとする。そして,お互いに平方数が平方数に対する比を持たない。3つの数をE,BC,CDとする。さらにCBはBDに対して平方数が平方数に対する比を持たないとする。

EがBCに対するようにA上の正方形がFG上の正方形に対し,また,BCがCDに対するようにFG上の正方形がGH上の正方形に対するものとする。

ここで,EがBCに対するようにA上の正方形がFG上の正方形に対するので,A上の正方形はFG上の正方形と通約可能である。 ].6

しかしここで,A上の正方形は有理。よってFG上の正方形も有理。したがってFGも有理。

ここでEはBCに対して平方数が平方数に対する比を持たない。よって,A上の正方形もFG上の正方形に対して,平方数が平方数に対して持つ比を持たない。よって,AはFGと長さにおいて通約不可能である。 ].9

また,BCがCDに対するようにFG上の正方形がGH上の正方形に対する。よって,FG上の正方形はGH上の正方形と通約可能である。 ].6

しかしここで,FG上の正方形は有理。よって,GH上の正方形も有理。よってGHも有理である。

BCはCDと平方数が平方数に対する比を持たないので,FGもGHに対して,平方数が平方数に対して持つ比を持たない。よって,FGはGHと長さにおいて通約不可能である。 ].9

そして,FG,GHは有理なので,FG,GHは平方においてのみ通約可能な有理線分である。よってFHは余線分である。 ].73

つぎに,FHは第6の余線分であることを示す。

EがBCに対するようにA上の正方形がFG上の正方形に対し,BCがCDに対するようにFG上の正方形がGH上の正方形に対する。よって,等間隔比によりEがCDに対するようにA上の正方形がGH上の正方形に対する。 X.22

しかしここでEはCDに対して平方数が平方数に対して持つ比を持たないので,A上の正方形はGH上の正方形に対して持たない。よって,AはGHと長さにおいて通約不可能である。よってFGもGHも有理線分Aと長さにおいて通約不可能である。 ].9

ここで,K上の正方形はGH上の正方形よりFG上の正方形だけ大きいとする。

BCがCDに対するようにFG上の正方形がGH上の正方形に対するので,反転比により,CBがBDに対するようにFG上の正方形がK上の正方形に対する。

しかしここで,CBはBDに対して平方数が平方数に対して持つ比を持たないのでFG上の正方形もK上の正方形に対して比を持たない。よってFGはKと長さにおいて通約不可能である。 ].9

FG上の正方形はGH上の正方形よりK上の正方形だけ大きい。よってFG上の正方形はGH上の正方形よりFGと長さにおいて通約不可能な直線上の正方形だけ大きい。 ].Def.V.6

そしてFGもGHも有理線分Aと通約不可能なので,FHは第6の余線分である。よって,第6の余線分は見つけられた。

証明終了


第10巻命題89へ  第10巻命題91へ  第10巻目次へ