命題91

「面積が有理線分と第1の余線分によって囲まれるならば、その面積に等しい正方形の辺は余線分である」

面積ABは有理線分ACと第1の余線分ADによって囲まれるとする。

面積ABに等しい正方形の辺は余線分であることを示す。

ADは第1の余線分なのでDGはそれの付加であるとする。よって、AG,GDは平方においてのみ通約可能な有理線分である。また、AG全体は定められた有理線分ACと通約可能で、AGでできた正方形はGDでできた正方形よりAGと長さにおいて通約可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].73 ].Def.V.2

よって、DGでできた正方形の1/4に等しく正方形だけ欠けている長方形がAG上につくられるならば、それを通約可能な2つの部分に分ける。 ].17

DGがEで2等分され、EGでできた正方形に等しく正方形だけ欠けている長方形がAG上につくられたとし、それを長方形AF,FGとする。 このとき、AFはFGと通約可能である。

点E,F,Gを通り、ACに平行にEH,FI,GKがひかれたとする。

AFはFGと長さにおいて通約可能なのでAGは線分AF,FGと長さにおいて通約可能である。 ].15

また、AGはACと通約可能なので線分AF,FGはACと長さにおいて通約可能である。 ].12

ACは有理線分なので線分AF,FGは有理線分である。  よって、AI,FKは有理面積である。 ].19

DEはEGと長さにおいて通約可能である。  よって、DGは線分DE,EGと長さにおいて通約可能である。 ].15

また、DGは有理線分でACと長さにおいて通約不可能である。  よって、線分DE,EGは有理線分で、ACと長さにおいて通約不可能である。 ].13 ].21

ゆえに、長方形DH,EKは中項面積である。

AIに等しい正方形LMがつくられたとし、FKに等しくLMと共通の角LPMを持つ正方形NOがひかれたとする。  このとき、正方形LM,NOは同じ対角線をはさんでいる。 Y.26

PRはそれらの対角線として作図されたとする。

長方形AF,FGはEGでできた正方形に等しいので、AFがEGに対するようにEGがFGに対する。 Y.17

また、AFがEGに対するようにAIがEKに対し、EGがFGに対するようにEKがFKに対する。  よって、EKはAI,FKの比例中項である。 Y.1 X.11

また、MNは正方形LM,NOの比例中項であり、AIは正方形LM、FKはNOに等しいことが前に証明されているので、MNはEKに等しい。 ].54's Lemma

また、EKはDH、MNはLOに等しい。  よって、DKはグノーモンUVWとNOの和に等しい。

また、AKは正方形LM,NOの和に等しい。 よって、残りのABはSTに等しい。

また、STはLMでできた正方形であるのでLMでできた正方形はABに等しい。よって、LMはABに等しい正方形の辺である。

次に、LNが余線分であることを示す。

長方形AI,FKは有理面積でLM,NOに等しいので、正方形LM,NOすなわちLP,PNでできた正方形は有理面積である。  よって、線分LP,PNは有理線分である。

また、DHは中興面積でLOに等しいので、LOは中項面積である。

このとき、LOは中項面積でNOは有理面積なので、LOはNOと通約不可能である。

また、LOがNOに対するようにLPはPNに対する。 よって、LPはPNと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

LP,PNは有理線分であるので、LP,PNは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 ゆえに、LNは余線分である。 ].73

これは面積ABに等しい正方形の辺である。したがって、面積ABに等しい正方形の辺は余線分である。よって,面積が有理線分と第1の余線分によって囲まれるならば、その面積に等しい正方形の辺は余線分である。

証明終了


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