命題93

「有理線分と第三の余線分でつくられる面積があるならば,そのときその面積に等しい正方形の一辺は第二の中項余線分である」

有理線分ACと第三の余線分ADによってつくられる面積をABとする。

ABと等しい正方形の一辺が第二の中項余線分であることを示す。

DGをADに付加する。そのとき,AGとGDは平方においてのみ通約可能な有理線分とする。そしてAGもGDは有理線分ACと長さにおいて通約不可能。AG上の正方形はDG上の正方形よりAGと通約可能な直線上の正方形だけ大きい。 ].Def.V.3

よってDG上の正方形の四分の一に等しく正方形だけ欠けている長方形がAG上につくられるならばそれを通約可能な部分に分ける。 ].17

DGをEで二等分する。AG上の長方形がEG上の正方形に等しく正方形だけ欠けているとし,長方形AF,FG。点E,F,GからACに平行なEH,FI,GKを描く。

そのときAFとFGは通約可能,よってAIもFKと通約可能である。 Y.1 ].11

AFとFGは長さにおいて通約可能,よってAGもAF,FGのそれぞれと長さにおいて通約可能。 ].15

しかしここで,AGは有理でACと長さにおいて通約不可能。よってAFとFGもそうである。 ].13

よってAI,FKのそれぞれは中項である。 ].21

またDEはEGと長さにおいて通約可能であるので,DGもDE,EGのそれぞれと長さにおいて通約可能である。 ].15

しかしここでGDは有理で,ACと長さにおいて通約不可能である。 よってDE,EGのそれぞれも有理でACと長さにおいて通約不可能である。よってDH,EKは中項である。 ].13 ].21

AGとGDは平方においてのみ通約可能であるのでAGはGDと長さにおいて通約不可能である。

しかしここで,AGはAFと長さにおいて通約可能。DGもEGと通約可能。よって,AFはEGと長さにおいて通約不可能。 ].13

しかしここでAFがEGに対するようにAIがEKに対する。よってAIはEKと通約不可能である。 Y.1 X.11

ここでAIと等しい正方形LMをつくり,LMからFKに等しくLMと同じ角をはさむNOをひく,そのときLMとNOは同じ対角線をはさんでいる。 Y.26

PRを対角線とし,図を描く。

ここで長方形AF,FGはEG上の正方形と等しいので,AFがEGに対するようにEGがFGに対する。 Y.17

しかしここでAFがEGに対するようにAIがEKに対し,EGがFGに対するようにEKがFKに対する。よってAIがEKに対するようにEKがFKに対する。よってEKはAIとFKの比例中項である。 Y.1 Y.11

しかしここでMNもLM上,NO上の正方形の比例中項である。そしてAIはLMとFKはNOと等しい。よってEKもMNと等しい。

しかしここでMNはLOとひとしく,EKはDHと等しい。よって全体のDKもグノーモーンUVWとNOの和に等しい。

しかしここで,AKはLMとNOの和に等しい。よって残りのABはSTに等しい。つまり,LN上の正方形である。よってLNはABの面積と等しい正方形の一辺である。

LNが第二の中項余線分であることを示す。

AIとFKは中項であることが示されているので,LP上の正方形と等しい。よって,LP上,PN上の正方形も中項である。よってLP,PNのそれぞれも中項である。

AIはFKと通約可能なのでLP上の正方形もPN上の正方形と通約可能。 Y.1 ].11

またAIはEKと通約不可能であることが示されているのでLMもMNと通約不可能。つまりLP上の正方形は長方形LP,PNと通約不可能。よってLPはPNと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

よってLPとPNは平方においてのみ通約可能な中項線分である。

次にLP,PNが中項面積を作ることを示す。

EKは中項であることが示されているので,長方形LP,PNと等しい。よって長方形LP,PNも中項。そして,LP,PNは中項な長方形を作り,平方においてのみ通約可能な中項線分である。

よってLNは第二の中項余線分であり,ABと等しい正方形の一辺である。 ].75

よってABと等しい正方形の一辺は第二の中項余線分である。

証明終了


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