命題92

「もし,面積がある有理線分と第2の余線分によって囲まれるならば,それに等しい正方形の辺は第1の中項余線分である」

面積ABは,ある有理線分ACと第2の余線分ADによって囲まれるとする。

面積ABに等しい正方形の辺は第1の中項余線分である事を証明する。

DGがADにたされたとする。そのとき,AGとGDは平方においてのみ通約可能な有理線分であり,そのとき全体のAG上の正方形はたされたGD上の正方形よりAGと長さにおいて通約可能な線分上の正方形だけ大きい。 ].73 ].Def.V.2

AG上の正方形はGD上の正方形よりAGと通約可能な線分上の正方形だけ大きいので,ゆえにもしGD上の正方形の4分の1に等しく正方形だけ欠けている平行四辺形がAG上に作られるならば,それを通約可能な2つの部分に分ける。 ].17

EG上の正方形に等しく,正方形だけ欠けている平行四辺形がAG上に作られたとし,それを長方形AF,FGとする。 そのとき,AFとFGは長さにおいて通約可能である。

ゆえに,AGは直線AF,FGと長さにおいて通約可能である。 ].15

またAGは有理で,ACと長さにおいて通約不可能な有理線分で,よって直線AFとFGはともにACと長さにおいて通約不可能な有理線分である。 ゆえに,長方形AIとFKはともに中項面積である。 ].13 ].21

また,DEはEGと通約可能なので,ゆえにDGは直線DE,EGの両方ともと通約可能である。 ].15

ところが,DGはACと長さにおいて通約可能である。

ゆえに,長方形DHとEKはともに有理。 ].19

AIに等しい正方形LMがつくられ,FKに等しく,LMと同じ角,すなわち角LPMをはさむNOが引かれたとする。そのとき,正方形LMとNOは同じ対角線をはさんでいる。 Y.26

その対角線をPRとし,図を描く。

AIとFKは中項で,LP上,PN上の正方形に等しいので,LP上,PN上の正方形はともに中項である。 ゆえに,LPとPNは平方においてのみ通約可能な中項線分である。

長方形AF,FGはEG上の正方形に等しいので,ゆえに,AFがEGに対するようにEGはFGに対し,AFがEGに対するようにAIはEKに対し,EGがFGに対するようにEKはFKに対する。ゆえに,EKは,AIとFKの比例中項である。 Y.17 Y.1 X.11

また,MNはLMとNOの比例中項であるので,AIはLMに等しく,FKはNOに等しく,ゆえにMNはEKに等しい。

また,DHはEKに等しく,LOはMNに等しく,ゆえに全体のDKはグノーモンUVWとNOの和に等しい。

そのとき,全体のAKはLMとNOの和に等しく,DKはグノーモンUVWとNOの和に等しいので,残りのABはTSに等しい。

TSはLN上の正方形であり,ゆえにLN上の正方形は面積ABに等しい。ゆえに,LNは面積ABに等しい正方形の辺である。

次に,LNが第1の中項余線分である事を証明する。

EKは有理でLOに等しいので,ゆえにLOすなわち長方形LP,PNは有理である。

また,NOは中項である事がすでに証明されたので,LOとNOは通約不可能である。

また,LOがNOに対するようにLPはPnに対し,ゆえにLPとPNは長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

ゆえに,LPとPNは平方においてのみ通約可能な中項線分で,有理な長方形に含まれる。ゆえに,LNは第1の中項余線分である。 ].74

そして,それは面積ABに等しい正方形の辺である。 よって,面積ABに等しい正方形の辺は第1の中項余線分である。 したがって,面積がある有理線分と第2の余線分によって囲まれるならば,それに等しい正方形の辺は第1の中項余線分である。

証明終了


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