命題94

「面積が有理線分と第4の余線分によって囲まれるならば、
その面積に等しい正方形の辺は劣線分である」

面積ABは有理線分ACと第4の余線分によって囲まれるとする。

面積ABに等しい正方形の辺は劣線分であることを示す。

DGはADの付加であるとする。よって、AG,GDは平方においてのみ通約可能な有理線分で、AGは定められた有理線分ACと長さにおいて通約可能で、全体AGでできた正方形は付加されたDGでできた正方形よりAGと長さにおいて通約不可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].Def.V.4

AGでできた正方形はDGでできた正方形よりAGと長さにおいて通約不可能な線分だけ大きいので、DGでできた正方形の4分の1に等しく正方形だけ欠けている長方形がAG上につくられるならばそれを通約不可能な2つの部分に分ける。 ].18

DGがEで2等分され、EGでできた正方形に等しく正方形だけ欠けている長方形がAG上につくられたとし、それを長方形AF,FGとする。  このとき、AFはFGと長さにおいて通約不可能である。

点E,F,Gを通り、AC,BDに平行にEH,FI,GKがひかれたとする。

AGは有理線分でACと長さにおいて通約可能なので、全体AKは有理面積である。 ].19

また、DGはACと長さにおいて通約不可能なのでDG,ACは有理線分である。よって、DKは中項面積である。 ].21

また、AFはFGと長さにおいて通約不可能なのでAIはFKと通約不可能である。 Y.1 ].11

AIに等しい正方形LMがつくられたとし、FKに等しくLMと共通の角LPMをもつ正方形NOがひかれたとする。

よって、正方形LM,NOは同じ対角線をはさんでいる。  PRはそれらの対角線として作図されたとする。 Y.26

長方形AF,FGはEGでできた正方形に等しいので、AFがEGに対するようにEGがFGに対する。 Y.17

また、AFがEGに対するようにAIがEKに対し、EGがFGに対するようにEKがFKに対する。 Y.1

よって、EKはAI,FKの比例中項である。  また、MNは正方形LM,NOの比例中項であり、AIはLM、FKはNOに等しい。  よって、EKはMNに等しい。

また、DHはEK,LOはMNに等しいので全体DKはグノーモンUVWとNOの和に等しい。

このとき、全体AKは正方形LM,NOの和に等しく、DKはグノーモンUVW、正方形NOに等しいので残りのABはSTすなわちLMでできた正方形に等しい。よって、LMは面積ABに等しい正方形の辺である。

LNが劣線分とよばれる無理線分であることを示す。

AKは有理面積でLP,PNでできた正方形の和に等しいので、LP,PNでできた正方形の和は有理面積である。

DKは中項なので,DKは長方形LP,PNの2倍に等しく,ゆえに長方形LP,PNも中項である。

また、AIはFKと通約不可能であることが証明されているので、LPでできた正方形はPNでできた正方形と通約不可能である。

よって、LP,PNはLP,PNでできた正方形の和を有理面積、長方形LP,PNの2倍を中項面積とする平方において通約不可能な線分である。

ゆえに、LMは劣線分とよばれる無理線分で、面積ABに等しい正方形の辺である。 ].76

したがって、面積ABに等しい正方形の辺は劣線分である。

証明終了


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