Lemma

直線が異なる部分に分けられるならば,分けられた部分上の正方形の和は分けられた部分でできた長方形の2倍より大きい。直線をABとし,Cで異なる部分に分けられるとする。ACの方が大きいとする。AC上,CB上の正方形の和が長方形AC,CBの2倍より大きい事を示す。

ABをDで二等分する。

Dは等しい部分に,Cは異なる部分に直線を分けるので,長方形AC,CBとCD上の正方形の和はAD上の正方形に等しい。長方形AC,CBはAD上の正方形より小さい。よって,長方形AC,CBの2倍はAD上の正方形の2倍より小さい。

ここで,AC上,CB上の正方形の和はAD上,DC上の正方形の和の2倍と等しいので,AC上,CB上の正方形の和は長方形AC,CBの2倍より大きい。

命題60

「二項線分上の正方形に等しい長方形が有理線分上に作られると第1の二項線分を幅とする」

ABをCで避けられる二項線分とする。ACの方が大きいとし,DEを有理線分とする。AB上の正方形に等しい長方形DEFGがDE上にあり,DGを幅とする。

DGが第1の二項線分である事を示す。

DE上にある長方形DHはAC上の正方形と等しく,KLはBC上の正方形と等しい。その時,残りの長方形AC,CBの2倍はMFと等しい。

MGをNで二等分する。 NOをMLかGFと平行になるように描く。そのとき,長方形MO,NFのそれぞれは長方形AC,CBと等しい。 ここで,ABはCで分けられる二項線分なので,ACとCBは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 ].36

よって,AC上,CB上の正方形は有理であり,お互いに通約可能であるのでAC上,CB上の正方形の和も有理である。そしてそれは,DLと等しい。よって,DLも有理。].15

そしてDLは有理線分DE上にある。よって,DMは有理でDEと長さにおいて通約可能である。 ].20

また,ACとCBは平方においてのみ通約可能な有理線分なので長方形AC,CBの2倍つまりMFは中項である。  ].21

そして,MFは有理線分ML上にあるのでMGも有理でMLと長さにおいて通約不可能である。 ].22

ここで,MDも有理でDEと長さにおいて通約不可能なのでDMはMGと長さにおいて通約不可能である。 ].13

そしてそれらは有理。よって,DMとMGは有理で平方においてのみ通約可能である。よってDGは二項線分である。 ].36

つぎに,DGが第1の二項線分である事を示す。

長方形AC,CBは正方形AC,正方形CBの比例中項なので,MOもDHとKLの比例中項である。よって,DHがMOに対するようにMOがKLに対する。つまり,DKがMNに対するようにMNがMKに対する。よって,長方形DK,KMは正方形MNと等しい。 Y.1 Y.17

AC上の正方形はCB上の正方形と通約可能なので,DHもKLと,DKもKMと通約可能である。 ].11 Y.1

AC上,CB上の正方形の和は長方形AC,CBの2倍より大きいので,DLもMFより大きい。そして,DMもMGより大きい。 Y.1

長方形DK,KMは正方形MNと等しい。つまり,MG上の正方形の4分の1に等しくDKはKMと通約可能である。

ここで,2つの異なる直線があるとする。そして小さい方の正方形の4分の1に等しく,正方形だけ欠けている平行四辺形が大きい線分上に作られ,そしてそれが通約可能な部分に分けられるならば,そのとき大きい正方形は小さい正方形より大きい方と通約可能な直線上の正方形だけ大きい。 ].17

よって,DMとMGは有理で,大きい方のDMは定められた有理線分DEと長さにおいて通約可能である。

よってDGは第1の二項線分である。

証明終了


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