命題66

「ある直線が二項線分と長さにおいて通約可能ならば,その直線も二項線分で順位において同じである」

ABを二項線分とし,CDとABは長さにおいて通約可能である。

CDが二項線分でABと順位において同じことを示す。

ABは二項線分なので,Eで分けられ,そしてAEの方が大きいとする。 よって,AEとEBは平方においてのみ通約可能な有理線分である ].36

ABがCDに対するように,AEがCFに対するようにする。そのとき,残りのEB対FDもAB対CDと等しくなる。 Y.12 ].19

ここで,ABはCDと長さにおいて通約可能。よって,AEもCFとEBもFDと通約可能である。 ].11

そして,AE,EBは有理。よって,CF,FDも有理。

そして,AEがCFに対するようにEBがFDに対する。よって,入れ替えて,AEがEBに対するようにCFがFDに対する。 ].11 ].16

ここで,AEとEBは平方においてのみ通約可能。よって,CFとFDも平方においてのみ通約可能である。 ].11

そしてそれらは有理。よって,CDは二項線分である。 ].36

次に,CDがABと順位において同じである事を示す。

AE上の正方形はEB上の正方形より,AEと通約可能な直線上の正方形かAEと通約不可能な直線上の正方形かのどちらかだけ大きい。

そのとき,AE上の正方形がEB上の正方形より,AEと通約可能な直線上の正方形だけ大きいならば,CF上の正方形もFD上の正方形より,CFと通約可能な直線上の正方形だけ大きい。 ].14

そして,もしAEが有理線分と通約可能ならば,そのときCFも有理線分と通約可能。そして,これゆえにAB,CDはそれぞれ第1の二項線分で,順位において同じである。 ].12 ].Def.U.1

ここで,もしEBが有理線分と通約可能ならば,FDも通約可能。そしてこれよりAB,CDは第2の二項線分で順位において同じである。 ].12 ].Def.U.2

ここで,AE,EBのどちらも有理線分と通約可能でないならば,CF,FDのどちらも通約可能でなく,AB,CDは第3の二項線分である。 ].13 ].Def.U.3

ここで,AE上の正方形がEB上の正方形よりAEと通約不可能な線分上の正方形だけ大きいならば,そのときCF上の正方形もFD上の正方形よりCFと通約不可能な直線上の正方形だけ大きい。 ].14

そして,AEが有理線分と通約可能ならば,CFも通約可能であり,AB,CDは第4の二項線分である。 ].Def.U.4

ここで,EBも有理線分と通約可能でFDも通約可能。そのときAB,CDは第5の二項線分である。 ].Def.U.5

ここで,AE,EBのどちらも通約不可能ならば,CF,FDも通約不可能である。よって,第6の二項線分である。 ].Def.U.6

よって,ある直線が二項線分と長さにおいて通約可能ならば,その直線も二項線分で順位において同じである。

証明終了


第10巻命題65へ  第10巻命題67へ  第10巻目次へ