命題100

「劣線分でできた正方形に等しい長方形が有理線分上につくられるならば、第4の余線分を幅とする」

ABを劣線分、CDを有理線分とし、有理線分CD上にABでできた正方形に等しくCFを幅とする長方形CEがつくられたとする。

CFが第4の余線分であることを示す。

BGはABの付加であるとする。  このとき、AG,GBは平方において通約不可能な線分でAG,GBでできた正方形の和を有理面積とし、長方形AG,GBの2倍を中項面積とする。 ].76

CD上にAGでできた正方形に等しくCKを幅とするCH、BGでできた正方形に等しくKMを幅とするKLがつくられたとする。 このとき、全体CLはAG,GBでできた正方形の和に等しい。

AG,GBでできた正方形の和は有理面積なのでCLは有理面積である。

有理線分CD上にCMが幅としてつくられる。 よって、CMは有理線分でCDと長さにおいて通約可能である。 ].20

全体CLはAG,GBでできた正方形の和に等しく、そのうちCEはABでできた正方形に等しい。よって、残りのFLは長方形AG,GBの2倍に等しい。 U.7

FMは点Nで2等分され、Nを通り、線分CD,MLに平行にNOがひかれたとする。このとき、長方形FO,NLは長方形AG,GBに等しい。

長方形AG,GBの2倍は中項面積でFLに等しいので、FLは中項面積である。

有理線分FE上にFMが幅としてつくられる。  よって、FMは有理線分でCDと長さにおいて通約不可能である。 ].22

AG,GBでできた正方形の和は有理面積で長方形AG,GBの2倍は中項面積なので、AG,GBでできた正方形の和は長方形AG,GBの2倍と通約不可能である。

また、CLはAG,GBでできた正方形の和に等しく、FLは長方形AG,GBの2倍に等しい。よって、CLはFLと通約不可能である。

また、CLがFLに対するようにCMがMFに対する。  よって、CMはMFと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

CM,MFは有理線分なのでCM,MFは平方においてのみ通約可能な有理線分である。よって、CFは余線分である。 ].73

次に第4の余線分であることを示す。

AG,GBは平方において通約不可能なのでAGでできた正方形はGBでできた正方形と通約不可能である。CHはAGでできた正方形に等しく、KLはGBでできた正方形に等しい。よって、CHはKLと通約不可能である。

また、CHがKLに対するようにCKがKMに対する。  よって、CKはKMと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

長方形AG,GBはAG,GBでできた正方形の比例中項で、AGでできた正方形はCHに等しく、GBでできた正方形はKLに等しく、長方形AG,GBはNLに等しいので、NLはCH,KLの比例中項である。よって、CHがNLに対するようにNLがKLに対する。

また、CHがNLに対するようにCKがNMに対し、NLがKLに対するようにNMがKMに対する。よって、CKがMNに対するようにMNがKMに対する。 Y.1 X.11

ゆえに、長方形CK,KMはMNでできた正方形すなわちFMでできた正方形の4分の1に等しい。 Y.17

CM,MFは不等な2線分で、MFでできた正方形の4分の1に等しく正方形だけ欠けている長方形CK,KMがCM上につくられ、それを通約可能な2つの部分に分けるので、CMでできた正方形よりCMと通約不可能な線分でできた正方形だけ大きい。 ].18

全体CMは定められた有理線分CDと長さにおいて通約可能である。  よって、CFは第4の余線分である。 ].Def.V.4

したがって,劣線分でできた正方形に等しい長方形が有理線分上につくられるならば、第4の余線分を幅とする。

証明終了


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