命題44

第二の双中項線分は一点だけで分けられる。

ABを第二の双中項線分とし,Cで分割されるとする。

そして,ACとCBは平方においてのみ通約可能である 中項線分であり,中項な長方形に含まれる。

その時Cは二等分する点ではないことは明らかである。

なぜならば,線分が長さにおいて通約可能でないからである。 ].38

ABが他の点で分けられないことを示す。

もし可能ならばABをDで分割する。

そして,ACはDBと等しくなく,ACのほうが大きいとする。

このとき,Lemma41より,AD,DB上の正方形の和は AC,CB上の正方形の和より小さいことは明らかである。

AD,DBは平方においてのみ通約可能である中項線分であり, 中項な長方形に含まれるとする。

EFを有理線分とする。

EFはAB上の正方形と等しい直角な平行四辺形EKにあてはまる。

そして,AC上,CB上の,正方形と等しいEGを引く。

その時残りのHKは長方形AC,CBの二倍である。 U.4

また,AD上,DB上の正方形の和と等しい。

ELを引くと,残りのMKも長方形AD,DBの二倍である。

ここで,AC上,CB上の正方形は中項なのでEGも中項である。

そしてそれは有理線分EF上にある。

よって,EHは有理でEFと長さにおいて通約不可能である。 ].22

同様にしてHNも有理でEFと長さにおいて通約不可能である。

そして,ACとCBは平方においてのみ通約可能な中項線分であるので, ACはCBと長さにおいて通約不可能である。

ここで,ACがCBに対するようにAC上の正方形が, 長方形AC,CBにたいする。

よって,AC上の正方形は長方形AC,CBと通約不可能である。 ].11

ここで,ACとCBは平方において通約可能であるので, AC上,CB上の正方形の和はAC上の正方形と通約可能である。 ].15

長方形AC,CBの二倍と長方形AC,CBは通約可能である。 ].6

よって,AC上,CB上の正方形の和は 長方形AC,CBの二倍と通約不可能である。

ここでEGはAC上,CB上の正方形の和に等しく
HKは長方形AC,CBの二倍に等しい。

よって,EGはHKと通約不可能であり, EHはHNと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

そしてEH,ENは有理線分。
よって,EHとHNは平方においてのみ通約可能な有理線分である。

ここで,もし平方においてのみ通約可能である二つの有理線分が加えられたならば,
その時全体は無理で二項線分と呼ばれる。
].36

よってENは二項線分でHで分割される。

同様に,EMとMNも平方においてのみ 通約可能な有理線分ということが証明される。

そしてENは二項線分でHと異なる点Mで分割される。

そして,EHはMNと等しくない。

よって,AC上,CB上の正方形の和は AD上,DB上の正方形の和よりも大きい。

ここでAD上,DB上の正方形の和は,長方形AD,DBの二倍より大きいので AC上,CB上の正方形の和 つまりEGは長方形AD,DBの二倍つまりMKより大きい。

そしてEHもMNよりおおきい。

よって,EHはMNと等しくない。

証明終了


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