命題55

有理線分と第二の二項線分で作られる面積ならば,
その時の面積と等しい正方形の 一辺は無理線分で第一の双中項線分と呼ばれる。

面積ABCDは有理線分ABと第二の二項線分ADで囲まれるとする。

面積ACに等しい正方形の一辺は第一の双中項線分とする。
ADは第二の二項線分であるので, Eでその項に分けられ,AEは大きい項であるとする。

AE,EDは平方においてのみ通約可能な有理線分で, AEでできた正方形はEDでできた正方形より,
AEと通約可能な線分でできた正方形だけ大きく, 小さい項EDはABと長さにおいて通約可能である。
].Def,U.2

EDはFで二等分され,EFでできた正方形に等しく,
AE上に正方形だけ欠けているAG,GEでできた長方形を描かれたとする。

このとき,AGはGEと長さにおいて通約可能である。 ].17

G,E,Fを通りAB,CDに平行なGH,EK,FLを描く。

平行四辺形AHに等しい正方形SNをつくり, 正方形NQはGKに等しく,MNはNOと一直線となるようにおく。

このとき,RNもNPと一直線である。
正方形SQは完全なものとする。

前の証明よりMRはSN,NQの比例中項であり,ELに等しく,
面積ACに等しい正方形の辺であることは明らかである。

MOが第一の双中項線分であることを示す。

AEは長さにおいてEDと通約可能で, EDはABと通約可能なので,AEはABと通約不可能である。 ].13


AGはEGと通約可能なので,AEも線分AG,GEと通約可能である。
また,AEはABと長さにおいて通約不可能
よって,AG,GEもABと通約不可能
].15 ].13

ゆえに,BA,AGとBA,GEは平方においてのみ通約可能な有理線分の組である。
したがって,長方形AH,GKは中項面積である。
ゆえに,正方形SN,NQは中項面積である。
よって,MN,NOも中項面積である。
].21

AGはGEと長さにおいてのみ通約可能なので,AHはGKと通約可能, すなわちSNはNQと通約可能でMNはNOと通約可能 Y.1 ].11

AEはEDと長さにおいて通約不可能で, AEはAGと通約可能でEDはEFと通約可能なので,AGはEFと通約不可能。 ].13

AEはEDと長さにおいて通約不可能で,AEはAGと 通約可能でEDはEFと通約可能なので,AGはEFと通約不可能。

AHもELと通約不可能である。つまり,SNはMRと通約不可能で,PNとNRも通約不可能。 つまり,MNはNOと通約不可能である。 Y.1 ].11

しかし,MN,NOは中項線分で平方において通約可能であることが証明された。
よって,MN,NOは平方においてのみ通約可能な中項線分である。

次に有理面積を囲むことを示す。

DEは仮定により,線分AB,EFと通約可能なので,EFはEKと通約可能。 ].12

また,AB,EFは有理線分なので,EL すなわち,MRは有理線分で,MRはMN,NOでできた長方形である。 ].19

しかし,平方においてのみ通約可能で,有理面積を囲む 二つの中項線分が加えられるなら,
全体は無理線分で第一の双中項線分と呼ばれる。
].37

証明終了


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