命題98

「第1の中項余線分上の正方形に等しい長方形が有理線分上に作られるとき,
第2の余線分を幅とする」

ABを第1の中項余線分とし,CDを有理線分とする。AB上の正方形に等しく,CFを幅とするCEがCD上に作られたとする。

CFが第2の余線分である事を証明する。

BGがABにたされたとする。そのとき,AGとGBは平方においてのみ通約可能な中項線分で,有理な長方形に含まれる。 ].74

AG上の正方形に等しくCKを幅とするCHと,GB上の正方形に等しくKMを幅とするKLがCD上に作られる。

ゆえに,全体のCLはAG上の正方形の和に等しい。ゆえに,CLもまた中項である。 ].15

また,CMを幅とするCDが有理線分上に作られ,ゆえにCMはCDと長さにおいて通約不可能である。 ].22

さて,CLはAG上,GB上の正方形の和に等しいので,AB上の正方形はCEに等しく,ゆえに,残りの長方形AG,GBの2倍はFLに等しい。 U.7

また,長方形AG,GBの2倍は有理でゆえに,FLは有理。

そして,FMを幅とするFEが有理線分上に作られ,ゆえにFMは有理でCDと長さにおいて通約可能である。 ].20

また,AG上,GB上の正方形の和,すなわちCLは中項で,長方形AG,GBの2倍,すなわちFLは無理。ゆえに,CLはFLと通約不可能である。

CLがFLに対するようにCMはFMに対し,ゆえに,CMはFMと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

また,両方とも有理で,ゆえにCMとMFは平方においてのみ通約可能な有理線分である。よって,CFは余線分である。 ].73

次に,それが第2の余線分である事を証明する。

FMはNで2等分され,Nを通りCDに平行にNOがひかれたとする。そのとき,長方形FOとNLは長方形AG,GBに等しい。

長方形AG,GBはAG上,GB上の正方形の比例中項であり,AG上の正方形はCHに等しく,長方形AG,GBはNLに等しく,BG上の正方形はKLに等しく,ゆえにNLもまた,CHとKLの比例中項である。ゆえに,CHがNLに対するようにNLはKLに対する。

また,CHがNLに対するようにCKはNMに対し,NLがKLに対するようにNMはMKに対する。ゆえに,CKがNMに対するようにNMはKMに対する。ゆえに,長方形CK,KMはNM上の正方形,すなわちFM上の正方形の4分の1に等しい。 Y.1 X.11 Y.17

CMとMFは等しくない2つの直線で,MF上の正方形の4分の1に等しく正方形だけ欠けている長方形CK,KMが大きい方の線分CM上に作られ,通約可能な2つの部分に分けられる。ゆえに,CM上の正方形はMF上の正方形よりCMと長さにおいて通約可能な線分上の正方形だけ大きい。 ].17

また,たされたFMは定められた有理線分CDと長さにおいて通約可能で,ゆえにCFは第2の余線分である。 ].Def.V.2

したがって,第1の中項余線分上の正方形に等しい長方形が有理線分上に作られるとき,第2の余線分を幅とする。

証明終了


第10巻命題97へ  第10巻命題99へ  第10巻目次へ