命題108

「有理面積から中項面積がひかれるならば,そのとき残りの面積に等しい正方形の一辺は余線分か劣線分かの2つの無理線分の1つである」

有理面積BCから中項面積BDをひくとする。

残りの面積ECと等しい正方形の一辺が余線分か劣線分かの2つの無理線分の1つであることを示す。

有理線分FGとし,FG上にBCに等しい長方形GHがつくられたとし,DBに等しいGKがひかれたとする。そのとき残りのECはLHに等しい。

そのときBCは有理で,BDは中項,BCはGHと等しくBDはGKに等しいので,GHは有理でGKは中項である。

そしてそれらは有理線分FG上にある。よってFHは有理でFGと長さにおいて通約可能である。FKは有理でFGと長さにおいて通約不可能。よってFHはFKと長さにおいて通約不可能である。 ].20 ].22 ].13

よってFHとFKは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 よってKHは余線分であり,KFにKHを付加する。 ].73

ここでHF上の正方形はFK上の正方形よりHFと通約可能か不可能かどちらかの直線上の正方形だけ大きい。

まず,通約可能な直線上の正方形だけ大きいとする。

ここで全体のHFは有理線分FGと長さにおいて通約可能。よってKHは第1の余線分である。 ].Def.V.2

しかしここで,有理線分と第1の余線分でできる長方形に等しい正方形の一辺は余線分である。よってLHに等しい正方形の一辺,つまりECは余線分である。 ].91

しかしここで,HF上の正方形がFK上の正方形よりHFと通約不可能な直線上の正方形だけ大きいならば,全体のFHは長さにおいてFGと通約可能なので,KHは第4の余線分である。 ].Def.V.4

しかしここで,有理線分と第4の余線分でできた長方形に等しい正方形の一辺は劣線分である。 ].94

したがって,有理面積から中項面積がひかれるならば,そのとき残りの面積に等しい正方形の一辺は余線分か劣線分かの2つの無理線分の1つである。

証明終了


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