命題71

「有理面積と中項面積が加えられるならば,4つの無理線分,すなわち二項線分か第1の双中項線分か優線分か有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺ができる」

有理線分をABとし,中項線分をCDとする。

四角形ADに等しい正方形の辺は二項線分か第1の双中項線分か優線分か有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺である事を示す。

ABはCDより大きいか小さいかのどちらかである。

初めに,ABがCDより大きいとする。ある有理線分をEFとしABに等しい長方形EGをEF上に作りEHを幅とする。DCに等しい長方形HIをつくり,HKを幅とする。

そのとき,ABは有理面積でEGに等しいのでEGも有理。また,EGはEF上に作られEHを幅とする。ゆえに,EHは有理でEFと長さにおいて通約可能である。 ].20

さらに,CDは中項面積で,HIに等しいのでHIも中項である。また,HIは有理線分EF上の作られ,HKを幅とする。ゆえに,HKは有理でEFと長さにおいて通約不可能である。 ].22

CDは中項であり,ABは有理なので,ゆえにABはCDと通約不可能,すなわちEGもまたHIと通約不可能。

EGがHIに対するようにEHはHKに対する。ゆえにEHはHKと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

また,両方とも有理である。ゆえに,EHとHKは平方においてのみ通約可能な有理線分である。 ].36

ABはCDより大きく,ABはEGに,CDはHIに等しいので,ゆえにEGはHIより大きい。ゆえに,EHはHKより大きい。そのときEH上の正方形はHK上の正方形よりEHと長さにおいて通約可能な直線上の正方形か,通約不可能な直線上の正方形だけ大きい。

まず,EHと通約可能な線分上の正方形だけ大きいとする。

大きい方の線分HEは有理線分EFと長さにおいて通約可能なので,EKは第1の二項線分である。 ].Def.U.1

ところが,EFは有理である。 もし面積が有理線分と第1の二項線分によって囲まれるならば,その面積に等しい正方形の辺は二項線分である。ゆえに,EIに等しい正方形の辺は二項線分であり,すなわちADに等しい正方形の辺も二項線分である。 ].54

次に,EH上の正方形はHK上の正方形よりEHと通約不可能な直線上の正方形だけ大きいとする。

大きい方の線分EHは有理線分EFと長さにおいて通約可能なのでEKは第4の二項線分である。 ].Def.U.4

ところが,EFは有理である。もし,面積が有理線分と第4の二項線分によって囲まれるならば,その面積に等しい正方形の辺は無理線分で優線分と呼ばれる。ゆえに,EIに等しい正方形の辺は優線分で,すなわちADに等しい正方形の辺も優線分である。ゆえに,EIに等しい正方形の辺は優線分ですなわちADに等しい正方形の辺も優線分である。 ].57

次に,ABはCDより小さいとする。そのとき,EGはHIより小さく,すなわちEHはHKより小さい。

また,HK上の正方形はEH上の正方形よりHKと通約可能な直線上の正方形か,通約不可能な線分上の正方形だけ大きいとする。

まず,通約可能な線分上の正方形だけ大きいとする。

小さい方の線分EHは定められた有理線分EFと長さにおいて通約可能である。ゆえに,EKは第2の二項線分である。 ].Def.U.2

また,EFは有理で,もし面積が有理線分と第2の二項線分によって囲まれるならば,それに等しい正方形の辺は第1の二項線分である。ゆえに,EIに等しい正方形の辺,すなわちADに等しい正方形の辺は第1の二項線分である。 ].55

次に,HK上の正方形がHE上の正方形よりHKと通約不可能な直線上の正方形だけ大きいとする。

小さい方の線分EHは有理線分EFと長さにおいて通約可能なので,ゆえにEKは第5の二項線分である。 ].Def.U.5

ところが,EFは有理である。もし面積が有理線分と第5の二項線分によって囲まれるならばその面積に等しい正方形の辺は有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺である。 ].58

ゆえに,EIに等しい正方形の辺は有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺で,すなわちADに等しい正方形の辺も有理面積と中項面積の和に等しい正方形の辺である。

証明終了


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