命題72

「お互いに通約不可能な2つの中項面積が加えられたならば,その時残りの2つの無理線分,すなわち第2の双中項線分か2つの中項面積の和に等しい正方形の1辺ができる」

お互いに通約不可能な2つの中項面積をAB,CDとし加えられたとする。

ADと等しい正方形の1辺が第2の双中項線分か2つの中項面積の和に等しい正方形の1辺である事を示す。

ABはCDより大きいか小さいかである。

まず,ABはCDより大きいとする。

EFを有理線分としEF上にABと等しくEHを幅とする長方形EGをつくる。そしてCDと等しくHKを幅とする長方形HIをつくる。

ここでAB,CDはそれぞれ中項なのでEG,HIもそれぞれ中項である。

そして,EG,HIは有理線分FE上にあり,EH,HKを幅としているのでEH,HKは有理でEFと長さにおいて通約不可能である。 ].22

ABはCDと通約不可能でありABはEGと,CDはHIと等しいので,EGはHIと通約不可能である。

ここで,EGがHIに対するようにEHがHKに対するのでEHはHKと長さにおいて通約不可能である。 Y.1 ].11

よって,EHとHKは平方においてのみ通約可能な有理線分である。よって,EKは二項線分である。 ].36

しかし,EH上の正方形はHK上の正方形よりEHと通約可能な直線上の正方形かEHと通約不可能な直線上の正方形だけ大きい。

まず,EH上の正方形がEHと長さにおいて通約可能な直線上の正方形だけ大きいとする。

ここで,EHもHKも有理線分EFと長さにおいて通約不可能である。よって,EKは第3の二項線分である。 ].Def.U.3

ここで,EFは有理。そして,有理線分と第3の二項線分によってできる面積があるならば,その時その面積に等しい正方形の1辺は第2の双中項線分である。よって,EIすなわちADと等しい正方形の1辺は第2の双中項線分である。 ].56

次に,EH上の正方形がHK上の正方形よりEHと長さにおいて通約不可能な直線上の正方形だけ大きいとする。

ここでEH,HKはEFと長さにおいて通約不可能なのでEKは第6の二項線分である。 ].Def.U.6

ここで有理線分と第6の二項線分によってできる面積があるならば,その時その面積と等しい正方形の1辺は2つの中項面積の和に等しい正方形の1辺である。よって,ADと等しい正方形の1辺も2つの中項面積の和と等しい正方形の1辺である。 ].59

証明終了




命題

「二項線分とそれにつづく無理線分は中項線分ともお互いとも同じではない」

証明

中項線分上の正方形に等しい長方形が有理線分上に作られるならば,有理で長方形の底辺と長さにおいて通約不可能な直線を幅とする。ここで,二項線分上の正方形に等しい長方形が有理線分上の作られるならば,第1の二項線分を幅とする。 ].22 ].60

第1の双中項線分上の正方形に等しい長方形を有理線分上につくるならば,第2の二項線分を幅とする。 ].61

第2の双中項線分上の正方形に等しい長方形を有理線分上につくるならば,第3の二項線分を幅とする。 ].62

優線分上の正方形に等しい長方形を有理線分上につくるならば,第4の二項線分を幅とする。 ].63

有理面積と中項面積の和の辺上の正方形に等しい長方形が有理線分上に作られるならば,第5の二項線分を幅とする。 ].64

2つの中項面積の和の辺上の正方形に等しい長方形が有理線分上に作られるならば,第6の二項線分を幅とする。 ].65

これらの幅は第1のものともお互いのものとも異なる。第1のものは有理だからであり,お互いのものは同じ順位でないからである。 よって,無理線分自身も互いに異なる。

証明終了


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