命題10

「線分が2等分され、1つの線分がそれと一直線をなして加えられるならば、加えられた線分を合わせた全体の上の正方形と加えられた線分の上の正方形の和はもとの線分の半分の上の正方形ともとの線分の半分と加えられた線分を一直線になす線分上の正方形の和の2倍である。」

線分ABが点Cで2等分され、線分BDがそれと一直線をなして加えられるとせよ。

AD、DB上の正方形の和はAC、CD上の正方形の和の2倍であることをいう。

CからABに直角になるCEをひき、それをAC、CBのどちらかと等しくさせなさい。EAとEBを結びなさい。Eを通って、ADと平行なEFをひき、Dを通って、CEと平行なFDをひきなさい。命題T.11命題T.3命題T.31

そのとき、線分EFは平行線EC、FDと交わっているので、角CEFとEFDの和は2直角と等しい。それゆえ、角FEBと角EFDの和は2直角よりも小さい。命題T.29

しかし、2直角より小さい角から延長されるとき2線分は交わる。それゆえ、B、Dの方向に延長されるならば、EB、FDは交わるであろう。公準T.5

延長されGで交わっているとせよ。AGを結びなさい。

そのとき、ACはCEと等しいので、角EACも角AECと等しい。Cにおける角は直角なので、角EAC、AECのそれぞれは直角の半分である。命題T.5

同様な理由で、角CEB、EBCのそれぞれも直角の半分なので、角AEBは直角である。

そして、角EBCは直角の半分なので、角DBGも直角の半分である。しかし、角BDGと角DCEは錯角で、角BDGは角DCEと等しいため角BDGも直角である。それゆえ、残りの角DGBは直角の半分である。それゆえ、角DGBは角DBGと等しい。ゆえに、辺BDも辺GDと等しい。命題T.15命題T.29命題T.6

また、角EGFは直角の半分で、Fにおける角が対角、Cにおける角と等しいため直角なので、残りの角FEGは直角である。それゆえ、角EGFは角FEGと等しい。ゆえに、辺GFも辺EFと等しい。命題T.34命題T.32命題T.6

いま、EC上の正方形はCA上の正方形と等しいので、EC、CA上の正方形の和はCA上の正方形の2倍である。しかし、EA上の正方形はEC、CA上の正方形の和と等しいので、EA上の正方形はCA上の正方形の2倍である。命題T.47共通概念T.1

また、FGはFEと等しいので、FG上の正方形もFE上の正方形と等しい。それゆえ、GF、FE上の正方形の和はEF上の正方形の2倍である。しかし、EG上の正方形はGF、FE上の正方形の和と等しいので、EG上の正方形はEF上の正方形の2倍である。そして、EFはCDと等しいので、EG上の正方形はCD上の正方形の2倍である。しかし、EA上の正方形はCA上の正方形の2倍であることも証明されていたので、AE、EG上の正方形はAC、CD上の正方形の2倍である。命題T.47命題T.34

そして、AG上の正方形もAE、EG上の正方形と等しいので、AG上の正方形はAC、CD上の正方形の2倍である。しかし、AD、DG上の正方形はAG上の正方形と等しいので、AD、DG上の正方形はAC、CD上の正方形の2倍である。命題T.47

そして、DGはDBと等しいので、AD、DB上の正方形の和はAC、CD上の正方形の和の2倍である。

それゆえ、線分が2等分され、1つの線分がそれと一直線をなして加えられるならば、加えられた線分を合わせた全体の上の正方形と加えられた線分の上の正方形の和はもとの線分の半分の上の正方形ともとの線分の半分と加えられた線分を一直線になす線分上の正方形の和の2倍である。

証明終了


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